5月14日、オンラインにて中同協企業環境研究センター(以下、研究センター)の5月例会が開催され、各同友会および中同協より12名、研究者7名の計19名が参加しました。
冒頭、植田浩史氏(研究センター座長/慶応義塾大学経済学部教授)があいさつ。続いて、下山朗氏(大阪経済大学経済学部教授)が「インボイス制度導入に伴う中小企業の負担感に関する検討―関西ブロック合同景況調査を用いた時間的コストの推計―」と題し、報告を行いました。
下山氏は、インボイス制度導入によって発生する納税コストのうち、特に時間的コストの増大に焦点を当て、関西ブロックの同友会が実施した調査結果を分析。3491社からの回答をもとに、経費精算業務の手間暇や不適切な領収書の処理などにより、事業者が業務負担の増大を強く感じていること、また、およそ半数の産業において300万円以上の時間的コストが発生していると試算されることを報告しました。
報告後には活発な質疑応答と意見交換が行われ、インボイス制度に関する具体的な問題点や影響についての共有がなされました。
最後に、山本篤民氏(研究センター副座長/日本大学商学部教授)が「下山先生の研究により、漠然としていた中小企業の負担が数値で明確化され、有益なデータとして政策当局との対話にも活用できると実感しました。今後、同友会には現場の声を集約し、負担軽減に向けた取り組みを行うことが期待されます」とまとめ、閉会しました。
なお、下山氏が本例会で報告した研究内容は『企業環境研究年報第29号』に掲載されています。詳細は左記のURLよりご覧いただけます。
https://policy.doyu.jp/research/6746/
「中小企業家しんぶん」 2025年 5月 25日号より