下請法の運用状況は

 2025年5月23日に公布された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」により、下請法は「中小受託取引適正化法」(略称)となります。2026年1月1日より「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」と称されることとなります。

 改正される下請法の現在の運用状況について見てみます。中小企業庁は2025年6月11日、2024年度における下請法の運用状況について取りまとめています。中小企業庁および公正取引委員会は、下請事業者が自発的に違反行為を申告しにくいこともあり、親事業者および下請事業者を対象に定期的なオンライン調査を実施しています。2024年度は、親事業者5.5万者、当該事業者と取引を行う下請事業者24万者に対して調査を実施。その結果、親事業者に対する調査において、下請法違反の恐れのある5,801者に対して、是正等を求める注意喚起文書を発出しています。実に親事業者の約10.5%が、下請法違反の恐れがある取引をしていることが分かります。違反行為・改善報告の内訳としては、支払遅延が189件、下請代金減額139件、買いたたき106件など悪質な違反も見られます(表)。違反例を見ると、支払いサイト短縮による歩引金と称して金利相当分を返金させていたり、下請代金から「販売支援」として下請代金の額に一定率を乗じて得た額を減じている事例、金型を無償で下請事業者に保管させている事例などがありました。中同協では改正下請法においても厳格な運用、悪質な事業者に対する罰則の強化を要望しています。

(表)違反行為・改善報告の内訳

「中小企業家しんぶん」 2025年 6月 25日号より