4月25日に2025年版中小企業白書・小規模企業白書が公表されました。今年の白書は、第2部で「中小企業の経営力」について分析。円安・物価高の継続、「金利のある世界」の到来、構造的な人手不足といった厳しい状況の中、それらの課題を乗り越え成長・発展を遂げるためには、経営者が、自らが置かれている状況と方向性を把握し、的確な対策を打つ力としての「経営力」が重要としています。
そして経営力を高めるための取り組みとして、以下のような点を紹介し、その重要性を強調しています。
(1)経営者がリスキリング(新たな知識や技術の学習)に取り組んでいる企業の方が売り上げ、付加価値が増加している。
(2)経営者同士の交流が成長意欲を喚起している。異業種、広域のネットワークの方が得られた効果が大きい。
(3)経営計画を策定している企業が、策定していない企業より業績がよい。
(4)経営理念・ビジョンを共有している企業の方が成長している。
(5)従業員に経営情報を共有している企業の方が付加価値が増加している。
(6)働き方の改善、社内のコミュニケーションの円滑化に力を入れている企業は人材の獲得・定着に成功している。
同友会では、異業種の経営者同士が学び合い、全国的な交流も積極的に行ってきました。多くの会員企業が、経営指針(経営理念・10年ビジョン・経営方針・経営計画)を策定し、社員とも共有することを実践してきています。そして、社員とのコミュニケーションや信頼関係づくり、人間尊重の企業づくりに多くの会員企業が取り組んできました。今年の白書で示されている「経営力」は、まさに長年同友会運動が取り組んできた内容と重なります。
白書では企業事例も紹介されていますが、そのうち7社は同友会会員企業です。ある事例では「事業継続力強化について中小企業家同友会の経営者仲間に相談」したことが紹介されています。別の会員企業の事例では、同友会の名前は出てきませんが、「地元の先輩経営者から物心両面の支援と後押しを受け」と、同友会会員と思われる方からの支援があったことが紹介されています。
2022年版白書では、経営者には「『自己変革力』を身に付けることが求められている」として、そのために「本質的経営課題」を把握すること、経営者が十分に「腹落ち」(納得)すること、第三者との対話が重要であることなどを強調していました。
2023年版白書では、成長企業の経営者は、第三者との交流などにより成長意欲を高めている傾向がうかがえると指摘。特に、経営者仲間との交流を積極的に行うことが、経営者の成長意欲を喚起することにつながっている可能性がある、と分析していました。
近年、白書の示す中小企業経営の方向性は、同友会が取り組んできた方向に近づいてきているように感じます。同友会運動の有効性にあらためて確信を深めたいものです。
一方、経営環境が厳しさを加える中、個々の企業努力だけでは限界もあります。企業努力が報われるような中小企業政策の一層の強化が期待されます。
(KS)
「中小企業家しんぶん」 2025年 7月 15日号より









