同友エコ受賞企業(環境経営委員長賞&外部審査委員賞) 
リサイクルでつなぐ地域の絆―荒川産業が示す持続可能な経営モデル 
荒川産業(株) 代表取締役社長 荒川 健吉氏(福島)

 同友エコ2024―2025受賞企業を紹介する本連載。今回は、環境経営委員長賞と外部審査委員賞を受賞した荒川産業(株)(福島同友会会員)の取り組みを紹介します。

 地域密着型のリサイクル事業に取り組む荒川産業(株)は、喜多方市や会津若松市を中心にリサイクル事業を展開する創業130年を超える老舗企業です。2024年度「同友エコ」では、同社の地域密着かつ先進的な環境経営が高く評価され、環境経営委員長賞および外部審査委員賞のダブル受賞となりました。評価されたのは、同社が展開する「リサイクルBOX」の設置と、それを支える地域貢献活動と情報発信の取り組みです。

24時間いつでも、地域の頼れる資源ステーション

 荒川産業グループは、喜多方市や会津若松市を中心に、ペットボトルや空き缶、段ボール、新聞・雑誌などを24時間いつでも誰でも持ち込める「リサイクルBOX」を設置。近年では、この「リサイクルBOX」に特化した専用ホームページを開設し、設置場所や回収品目を分かりやすく発信することで、利用者の利便性を格段に高めました。

 「これってどこに出せばいい?」という疑問も、サイトで検索すれば一目瞭然。通勤や買い物のついでに利用する住民も増えています。また、資源回収の利用を促すため、会津若松市では「エコ活リサイクルポイントラリー」も実施中。リサイクルBOXで資源を出し、専用シールにスマホをかざすとポイントがたまり、地域通貨「会津コイン」などに交換できます。楽しみながら環境活動に参加できる仕組みです。

大雪災害時、“市民の駆け込み寺”に

 2025年2月、会津若松市を襲った、積雪統計を取り始めてから最多となる記録的な大雪で、交通障害によりごみ収集が一部停止。市民がごみ処理に困る中、市内のリサイクルBOX搬入量が通常の1・5倍に増加。市民からは「とても助かっている」、「緊急時に頼りになる」との声が多数寄せられました。また、この期間中に持ち込まれた資源物の収益の一部を市に寄付するなど、荒川産業グループは社会貢献にも積極的に取り組んでいます。

「地域資源発掘業」と「地域課題解決業」

 荒川産業は、1893年(明治26年)に会津喜多方で創業した老舗企業。同社のルーツは喜多方での蚕糸(さんし)業と古道具屋に始まります。昭和、平成を経て、鉄スクラップを中心に多角的なリサイクル事業を展開し、地域に根差した活動を続けています。1994年には、リサイクルの仕組みを学べる施設として業界初となる社内リサイクルミュージアム「くるりんこ」を開設。子供から大人までが資源循環を体験できる場として、地域教育にも貢献し、地域の子どもたちへの環境教育にも力を注いできました。

 社長の荒川健吉氏は、「荒川産業は、地元の資源を発見・活用して社会へ提供する『地域資源発掘業』、そして地域の課題に応える『地域課題解決業』である」と語ります。こうした考えのもと、同社はリサイクルBOXの整備にとどまらず、地域社会と連携した環境改善や災害時の支援活動などにも積極的に取り組んでいます。

企業が担う、地域の「安心」のインフラへ

 災害やごみ処理の課題が多様化する中、荒川産業のような企業が果たす役割はますます重要です。単なるリサイクル事業者ではなく、「地域の暮らしを支える環境インフラの担い手」としての存在感を高めています。

 持続可能な地域社会を構築するために、企業は何ができるのか。その問いに、実直かつ柔軟に答え続ける荒川産業の姿勢は、地域とともに歩む「環境経営モデル」として、全国の中小企業にとって大きなヒントとなるでしょう。

会社概要

設立:1893年
社員数:正規社員87人、パート17人、契約社員1人
事業内容:鉄・非鉄スクラップ各種、古紙のリサイクル業
URL:https://amarc.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2025年 7月 15日号より