米の価格高騰の問題から備蓄米の放出が行われ、「減反」から米の増産にかじをきるなど農業政策の転換点を迎えています。高齢化や都市化の進行で担い手不足は必至です。日本の農業の現状と課題について、5年に1度調査している農林業センサスや「令和6年度食料・農業・農村白書」を基に近年の変化を見てみます。
2023年度の総合食料自給率は、供給熱量ベースで38%、生産額ベースで61%となっています(図1)。長期的な食糧自給率低下の主な要因として、食生活の多様化が進み、国内で自給可能な米の消費が減少したこと、輸入依存度の高い飼料を多く使用する畜産物の消費が増加したことなどが挙げられています。主食用米の需要量は、1996年944万トンから2024年には711万トンとなり年々減少しています。特に米の消費は、50~60歳代において急減しているとのことです。備蓄米の放出が話題となりましたが、政府は米を100万トン程度備蓄、食糧用小麦については外国産食料用小麦の需要量の2~3カ月分、飼料穀物についてはとうもろこし等約100万トンをそれぞれ民間で備蓄し、政府が保管費等の一部を支援しています。これがどの程度の食料安全保障を担保する量なのか分かりませんが、備蓄米については、5年経過すると加工原材料用として販売されることも分かりました。今回備蓄米が放出されたことで、緊急時の食糧や加工用の原材料に影響を及ぼさないか心配されます。
基幹的農業従事者数を見てみると、約20年間で半減しています(図2)。2000年の240万人から2024年には111万4000人にまで減少しました。うち65歳以上は79万9000人と全体の71・7%となっており、平均年齢は69・2歳と高齢化が進行しています。担い手の高齢化が進行している中、後継も進んでおらず、5年以内に農業経営を引き継ぐ後継者を確保している経営体の割合は、平地農業地域の経営耕地面積50ヘクタール以上の層でも6割以下、1ヘクタール未満の層では2割程度となっています。
新規の就農も進んでいません。2023年の新規就農者数は前年に比べ5・2%減少し4万3460人。就農形態別で見ると、特に新規雇用就農者は前年に比べ12・0%減少し9300人となっています。全国的な人手不足の中、雇用労働者の採用競争や厳しい経営環境が求人数に影響した可能性があります。
これらのデータから日本の農業は、非常に危機的な状況へ進行している実態が分かります。全国には約1100名の農林業に従事している会員がいますが、これからの日本の農業を考える上でも、農業経営者に同友会に入会していただくことが重要だと感じます。
「中小企業家しんぶん」 2025年 8月 25日号より











