読書が趣味で、休日は書店巡りが楽しみの1つです。しかし、この数年の間に自宅の最寄り駅周辺にあった新刊書店が相次いで閉店し、書店に行くには電車などでの移動が必須となりました。
日本国内での書店や読書を巡る状況は近年大きく変化しています。読書離れが進み、「1カ月に1冊も本を読まない」人は約6割にのぼります(文化庁調査)。紙の出版物の売り上げは、1996年の約2・7兆円から2022年には約1・1兆円にまで落ち込み、6割減(公益社団法人全国出版協会出版科学研究所調査)。全国の書店数は2003年の約2万1000店舗から2023年の約1万1000店舗に20年間で半減しています(同研究所調査)。その結果、書店がない市町村は全体の約27・7%(一般社団法人出版文化産業振興財団調査)と深刻な状況が生じています。
このような状況を踏まえ、政府は書店振興プロジェクトチームを立ち上げ、書店経営者などの関係者から車座でのヒアリングを実施。それを踏まえて6月に「書店活性化プラン」を発表しました。街中にある「書店」は創造性が育まれる文化創造基盤として重要であるという認識の下、関係省庁連絡会議を設置して議論を重ね、書店を巡る現状と課題、支援施策のあり方などをまとめたものです。これには経済産業省、中小企業庁、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局、公正取引委員会、文部科学省、文化庁、国土交通省と幅広い省庁が関わりました。
同プランでは、書店を巡る課題を「読書人口の減少や書店の魅力向上に関する課題」、「地域における書店と図書館・自治体との連携の在り方」、「業界慣行における課題」などの5つに整理。また、2025年1月に公表された関連文書では、欧米諸国や韓国に比べると、中央政府による文化向けの支出額が最も少ないことなどの課題を指摘し、フランスでは市民に読書の機会を保障することを国や自治体の責務として位置づけていること、韓国では地方公共団体による「地域書店活性化条例」の制定が行われていることなどを紹介しています。
書店に対する支援施策としては、図書館と連携した興味深い事例が紹介されています。幕別町図書館(北海道)では、2014年にそれまで東京の業者を通じて行っていた図書の購入を、すべて地元書店からの購入に転換。図書装備(フィルムやバーコード付与など)については、地元福祉事業所と連携することで、域内循環と障害者の雇用を生み出しています。
また、町田市立図書館(東京都)は書店と連携し、インターネットやリクエスト用紙で予約した市立図書館の書籍を書店での受け取り・返却ができるサービスを実施。書店への来訪機会が増加し、売り上げ増につながっています。
中同協では、毎年の政策要望・提言の中で、「中小企業を軸とした経済政策の戦略立案等を進めるため、中小企業のメンバーを多くいれた省庁横断的機能を発揮する会議体」を設置することを掲げています。書店振興プロジェクトチームで行ったような取り組みを中小企業全体に広げ、中小企業憲章に基づいた中小企業施策の強化・充実を進めることを強く望むものです。
(KS)
「中小企業家しんぶん」 2025年 9月 15日号より









