「中小企業における労使関係の見解(労使見解)」の発表50年を記念し、「労使見解とわたし~発表50周年に寄せて」をテーマに全国から多くの原稿が寄せられました。お送りいただいた原稿を連載で紹介します。
(株)サンライズタイヤサービス 代表取締役 白井 政志(広島)
同友会の一丁目一番地である経営指針成文化に取り組むにあたり、経営指針作成の手引きと共に『人を生かす経営』も熟読しました。書いてあることを行うには、本当に大変できれいごとばかりを求められているとも感じました。しかし、同友会に所属して会社を伸ばしている先輩たちは、「社員を大切にしている」人が圧倒的に多い。心から利他の精神で生きている方ばかりでした。そのときから私も正しい経営者になろうと決意。お客さま第一に考えていましたが、社員を第一に考える経営に転換しました。
経営者は社員を豊かにする。その想(おも)いが伝わり粋に感じてくれた社員は、お客さまを大切にしてくれる。お客さまを豊かにする仕事をしてくれると信じることにしました。
トップダウンではなくボトムアップ。何年も何年も社員に伝えることは同じこと。利益至上主義ではなく、相手の立場に立って物事を考え行動する商売を伝えています。「いい仕事をすれば必ず利益は後からついてくるから」と。
スピード感を持って数字は伸びていませんが、地道な活動により少しずつ少しずつ成果は出てきました。同業他社は、仕事はあるがこなしてくれる社員がいない、社長の高齢化は進むが後継者が不在など、明るいニュースはほとんどありません。そんな話を多く耳にし、「タイヤ専業業界の活性化」が自身や自社の目標になりました。同友会の全国大会で各地に足を運んだ際は、全国各地の同業者の会社訪問を行い、お互いの会社の情報交換をしたり、その会社の歴史や課題を聞いたりしています。何年か継続していると後継者不在の会社から、事業を引き継いでくれないか?とお声がけいただきました。自分の会社も課題は多いですが、せっかくお声がけいただいたので、二つ返事で会社を引き継ぐことを決めました。これからも自分を信じて、「労使見解」を念頭に置き正しい経営者をめざそうと思います。
そして、タイヤ専業業界を若者から「ここで働きたい」と言われるような業界にしていきたいです。努力する人が報われる社会、正しい会社が評価される社会へとなりますように。
(株)環境エコクリーン 代表取締役 山口 大輔(長崎)
「人を生かす経営」とは、同友会運動が生み出した「中小企業における労使関係の見解」に基づき、労使間の強い信頼関係で裏打ちされた人間尊重の経営をめざすことでもあります。こうした「どのような環境変化にも負けない強靱(きょうじん)な体質の企業づくり」をめざして会員が切磋琢磨(せっさたくま)して学び合うことを提起しています。
「労使見解」ができたのが約50年前ということもあり、今の会員にはピンときていないのではないでしょうか。時代の変化とともに「労使見解」がどうつながってきているのか理解しきれていないのではないでしょうか。「労使見解」の一部分にのみフォーカスされ、その他の部分が深まっていないのではないでしょうか。「労使見解」の全体を通して意義や流れを再確認していくことによって経営者の姿勢も明確になっていくとは思いますが、こうした懸念点は否めません。そこは今後十分に注意するべき点ではなかろうかと考えております。
弊社の社員が人身事故を
引き起こし、周囲からは非難の声や誹謗(ひぼう)中傷を受けました。その際、この50年前につくられた「労使見解」を読み込んでいたため、その社員を守ると心に決めて危機を乗り越えることができました。人を生かす経営や人間尊重の経営のおかげで、その社員は現在も雇用しております。
企業は経営者の器で推し量られると言われるように、経営者の力量を高めることが重要です。自分たちは常に経営者として科学性、社会性、人間性に基づいた経営理念を策定・確立し、その実践ができる経営者をめざし自分自身に磨きを掛けています。そして謙虚に学び合い、高まり合い、時代を切り開く総合的な能力を身につけていこうという考え方に基づき、「生きる・くらしを守る・人間らしく生きる」を常に考え、社員のためにわれわれ経営者は何ができるか挑戦し続けることが重要なことと捉えております。今後もその姿勢で経営し、地域に貢献し続ける企業でありたいと考えております。
「中小企業家しんぶん」 2025年 9月 25日号より









