若者に選ばれる企業へ 
新卒採用が企業と地域の未来をつくる 
(株)高洋商会 代表取締役社長 山川 耕平氏(大阪)

 採用と社内環境改善を一体として取り組む企業を紹介する連載『若者に選ばれる企業へ』。第9回は(株)高洋商会(山川耕平代表取締役社長、大阪同友会会員)の実践です。

 弊社はコンクリート型枠の製造を強みとしており、中でも円形など複雑な形状の型枠を専門としています。コンクリートを流し込むアール型枠と型枠を支える支保工材も製造し、木工と鉄工のどちらも取り扱う日本で数少ない会社です。

規模拡大と経営者としての自覚

 私が入社した2013年は社員数20名ほど、28歳の私が最年少で、一番年の近い社員が48歳と若手不在の会社でした。入社初日、あいさつに全く反応がなく静寂の時が流れたことを今でも忘れられません。当時は公共工事の増加に伴い仕事量が増加しており、どんどん採用をしていましたが、簡単な面接のみで採用しては退職者が続出していました。私たちの仕事は長年残る建造物に携わり、その仕事に誇りをもって働いています。そんな会社の魅力が伝わらないままに退職してしまうことに悔しさを感じ、新入社員に入社研修として業務内容や顧客、自社の強みなどを座学で伝えることを始めました。営業に同行して、トンネルや建物など自社の製品が関わる現場を見学して、仕事の成果が見えるようにもなりました。そうすることで徐々に早期退職は減っていき、現在では部署ごとに研修プログラムを設計して、1年以内に退職する社員はほぼゼロになりました。

 入社当初は社員や家族との衝突が絶えず、相談できる相手もいない、悩み深い時期に同友会と出合います。同じ悩みを抱えた経営者がいることにホッとしたというのが本音です。2016年に入会。経営指針セミナーを受講し、経営理念を確立したことで経営者としての覚悟が決まりました。

若手が活躍する企業へ

 2016年以前の当社には就業カレンダーがありませんでした。土曜日はほぼ全て出勤、日曜日や祝日に出勤することもあるため年間休日数は50日ほど。給与は日給制で、出勤日数によって毎月の給料が変わる不安定な給与形態でした。そこで、月給制に変更し、休日数も徐々に増やして現在は116日まで増加。手書きだった見積書や請求書などはデジタル化し、3S活動を導入して社内清掃も実施するなど時間をかけて働く環境を整備していきました。2016年からは年に1回の個人面談を実施して社員たちの声を聞くようにもしています。

 大きな変化のきっかけとして、若手リーダーたちと共に人事評価制度を構築し、その作成過程が経営理念を共有する機会となりました。社員に自覚が芽生えて大きな成長につながるとともに、若手社員主体の会社へと切り替わる契機にもなりました。

地域との連携を深める

 新卒採用は2014年から取り組んでおり、社内に教え合う文化ができつつあります。後輩に仕事を教えるときに、先輩社員が大きく成長します。会社の成長のためにも、社員に働く喜びや達成感を味わってもらうためにも、継続して取り組もうと感じています。今後は、ビジョンに共感してくれる人の採用に向けて、私だけでなく社員全員で採用する空気感を広げていこうと挑戦中です。

 大阪同友会では地域の高校生との交流が活発になっており、今年の交流会には進学校の生徒500名、地元企業80社が参加する予定です。地元の中小企業や経営者の存在を発見してもらうことで、若者に選ばれ、そして地域課題を共に解決していく関係づくりと持続可能な地域をめざしていきます。壮大な運動ですが、ぜひ社員と共に共同求人活動に参加してほしいと思います。

会社概要

創業:1987年
従業員数:47名
事業内容:コンクリート型枠材の企画・製造・販売・施工
URL:https://www.kouyou-shokai.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2025年 10月 5日号より