【代表理事に聞く】
25歳のバトン、同友会との出合い―そして仲間と歩む経営へ 
(株)吉田電工 代表取締役 吉田 雄亮氏(埼玉)

 各同友会の代表理事による連載「代表理事に聞く」。今回は吉田雄亮氏((株)吉田電工代表取締役、埼玉同友会)の実践です。

会社紹介

 (株)吉田電工は戸田市に本社を構え、今期で創業37年を迎えます。父が創業し、私は2代目として事業を継承しました。主な業務は内線電気工事で、新築マンションや事務所ビル、改修工事、公共事業など幅広く手がけています。社員数は17名。私は25歳のとき、父の急逝を機に経営を引き継ぎ、当初は社員と2人で現場に出る毎日でしたが、少しずつ社員を増やしてきました。

同友会の関わりと会社の成長

 同友会への入会は、その当時、経営者としてのネットワークやビジネスマッチングを求め、35歳のときに入会。入会して初めて出合った言葉が「経営理念」でした。それまで経営理念という概念も知らず、人前で話すのも苦手でしたが、経営者の話を聞くのはとても新鮮で、例会や支部の幹事会には毎回必ず参加することを自らに課していました。2年後には、共同求人委員会の学習会で「高校生の就職問題」を学び、新卒採用を決意し、経営計画書も見よう見まねで自らつくりました。やがて先輩経営者に勧められた「経営指針づくりセミナー」で経営指針を成文化しました。

 経営理念の中の「プロの工事会社として、納まりと仕上げの美しさにこだわり続け、技術力の向上を目指します」は、科学性、経営姿勢を表現したもので、当社の最大の価値判断基準です。この理念に共感して入社を決意してくれた新卒者もいます。

 当社の企業づくりは「新卒採用」と「組織づくり」を毎年もがきながら続けています。経営指針成文化をしても社内が賛同してくれることは少なかったですが、毎年更新をしながら採用活動を続けて、少しずつ経営に賛同してくれる人を増やしています。今では丸一日、全社員参加の「経営指針全体会議」を年1回実施。社員と同友会の仲間にも参加してもらい、共に会社の未来を考える日を設けています。

 もし「同友会に入ってよかったことは?」と聞かれたら、迷わずこう答えます。「互いの経営や中小企業の未来を本気で語り合える仲間と出会えたこと」これこそが、私にとって最大の財産です。

埼玉同友の会取り組み

 埼玉同友会の動向として、経営課題は原材料の高騰、人手不足、賃上げへの対応など、厳しさを増す経営環境の影響が大きく現れています。今期は、「時代を読み、時代と対話する」姿勢を掲げ、単に変化を受け入れるのではなく、その意味を経営者自らが問い直し、地域や社員と共に新たな価値を創り出す実践を進めています。

 また、会員同士が「互いの経営状況はどうか」を常に気にかけ、支え合う関係性を大切にしていこうという取り組みも広がっています。経営課題を率直に語り合い、成功も失敗も共有する「共に育つ」風土こそ、同友会運動の神髄であると改めて認識しています。

 今後も、行政・金融・教育機関や関係団体との連携を深めながら、地域に根ざす企業の社会的役割を高め、全国の仲間と共に「人を生かす経営」と「共育ち運動」をさらに発展させていきます。

会社概要

設立:1989年
資本金:1,000万円
社員数:17名
事業内容:一般電気工事、動力工事、受変電工事、計装工事、公共工事、太陽光発電工事、LED照明工事、火災報知器、インターホン防犯カメラ、空調換気エアコン工事、イルミネーション事業等
URL:https://www.yosida-denkou.co.jp/company/

「中小企業家しんぶん」 2025年 11月 5日号より