元厚労省課長が語る「中小企業経営者に期待すること」 ダイバーシティ委員会9月例会(神奈川)

 神奈川同友会ダイバーシティ委員会は9月26日に9月例会を開催し、55名が参加しました。当日は、「元厚労省課長が語る! 中小企業経営者に期待すること」をテーマに、元厚労省課長の小野寺徳子氏を報告者に迎えました。

 報告者の小野寺氏は1989年に早稲田大学教育学部を卒業後、労働省(現・厚生労働省)に入省。障害者雇用対策課長や福岡労働局長などを歴任し、長年にわたり障害者雇用の制度整備に携わりました。2024年に早期退官し、現在は障害者や家族を支える活動を続けています。

 報告では、障害者雇用制度の現状について解説があり、法定雇用率2・7%達成が求められる一方で「コスト負担」と捉えられがちであるという課題が示されました。そのうえで「数字を追うだけではなく、1人1人の力をどう生かすかが重要」と指摘。質の高い雇用の実現と、新しい助成金や認定制度を活用した現場支援の必要性を強調しました。

 さらに、中小企業の強みは柔軟性にあり、障害者雇用を経営戦略の一部として組み込むことが可能と提言。

人材不足が深刻化する中で、多様な人材が戦力となることは生産性や職場環境の改善にも直結すると語りました。

 後半のグループ討論では「あなたは中小企業家として、明日から何にチャレンジしますか? そして同友会をどのように活用していきますか?」をテーマに意見を交わし、参加者は自社の課題や実践の方向性を共有。同友会を学びと実践の場としてどう活用するかを議論しました。

 最後に小野寺氏は「中小企業経営者の創意工夫こそが、多様な人材が活躍できる社会を切り開く」と結び、参加者は新たな挑戦への意欲を高めました。

「中小企業家しんぶん」 2025年 11月 5日号より