【あっこんな会社あったんだ】多角化経営 
誰もが安心して暮らせる社会をめざして 「課題解決業」としての多角化経営 
(株)レキオス 代表取締役 宜保 文雄氏(沖縄)

企画「あっ!こんな会社あったんだ」では、企業経営に関わるさまざまな専門課題に取り組む企業事例を紹介しています。今回は「多角化経営」をテーマに、宜保文雄氏((株)レキオス代表取締役、沖縄同友会会員)の実践を紹介します。

 宜保氏は、1986年に前身の沖縄信用保証を創業して以来、「事業を通じて社会課題を解決する」を企業理念に掲げ、住まい・福祉・教育・地域再生など、多様な社会課題に向き合ってきました。

貧困がもたらす住まいの課題

 創業の原点には、宜保氏の原体験があります。母子家庭で育ち、家を借りる際に苦労する母の姿を見て、「誰もが安心して暮らせる社会を実現したい」との想(おも)いから、19歳で仲間7名と共に沖縄信用保証を設立。当時は珍しかった家賃債務保証事業を県内で初めて開始し、貸す側・借りる側双方に安心を提供してきました。

 レキオスの方針は、「入居者の住まい・暮らしを守ること」。家賃滞納が生じても退去手続きに進む前に、生活を立て直すための根本的な支援に力を注ぎます。家計相談や支援制度の紹介、社会福祉士などの専門職が継続的に寄り添いながら、再び自分の力で暮らしを築ける状態をめざして伴走しています。民間企業でありながら、社会保障の一端を担っているとも言える支援を実践し、生活の立て直しに寄り添っています。

多角化の必然性

 現在、レキオスは住宅支援、不動産、通信など多角的に事業を展開しています。これは「誰もが安心して暮らせる社会」をめざす過程で、課題を1つずつ解決してきた結果です。

 火災事故や自然災害など、住まいの「もしも」の際に入居者や家主を守るため無認可共済の仕組みを構築。その後、法制度にのっとり、レキオス少額短期保険(株)を設立しました。さらに、トラブル対応のため24時間対応するコールセンター「レキオスホットライン24」を設けました。

 また、経済的な事情でインターネットをつなげず情報格差や教育格差を生まないようにと2007年には集合住宅向け「レキオス光レジデンス」、2015年にはモバイル事業を開始しました。また一方で、障害者や高齢者、児童養護施設出身者への支援として「居住サポート」や「巣立ちサポート」事業を行政や福祉団体と連携して展開しています。

理念共感がカギ

 同社が採用で重視するのは能力よりも価値観と理念への共感です。「どうもうけるか」ではなく「どう社会の役に立つか」を考える人材を求め、約15年前からは新卒採用を積極的に行い、会社を拡大させてきました。レキオスでは、企業文化や考え方を深く浸透させるため、宜保氏自ら月2回、理念や事例を通じて社員に考え方を伝えています。

 また、同社の人材育成において特徴的なのが「社員のキャリア形成」へのサポートです。eラーニングによる生成AI実践活用講座や、外部講師を招いて「お金の勉強会」を実施するなど社員のキャリアを豊かにする取り組みを積極的に行っています。

「日本再生」プラットフォーム構想

 同社は長年、住環境支援を通じて行政と連携し、公営住宅の管理運営や子どもの居場所づくりなどを担ってきました。また、不動産・建築分野で培った知見を生かし、遊休地再生・空き家活用や相続・事業承継支援など、地域課題の解決にも貢献しています。さらに、地域活性化には「地域企業と地域が一体となったまちづくり」が不可欠と考え、地場中小企業によるアライアンス型のネットワークを構築してきました。

 2019年設立の(株)レキオスソーシャルネットワークは、地域の企業や人々をつなぎ、社会課題を解決するためのプラットフォームであり、経営資源やノウハウを共有することを目的としています。同社はこれらの沖縄で実証してきた「住みよい社会づくり」のモデルを全国に広げ、日本社会の構造を変革するという壮大なビジョンを掲げています。

 まず2026年からの3年間で、47都道府県全てにサプライチェーン拠点を整備。第1号の拠点として大阪に会社を設立する予定です。財源は通信インフラ事業から得る仕組みで、消費者が支払い先を変えるだけで地域課題の解決に貢献できる「地域密着型のモバイル事業」を準備しています。最終的には全国の拠点を結び、4万社規模の企業ネットワークを構築し、自治体と連携しながら、後継者不足や空き家問題などの地域課題を解決していく構想です。

 宜保氏は、多くの企業が短期的な収益を求めて疲弊して終わる中、レキオスモデルは「社会性から始め、それを支える経済性を一緒につくっていく」循環型のモデルであると述べ、長期間の軸で社会性と経済性の両輪がまわる社会づくりこそが、日本再生の鍵であると強調します。

 レキオスの挑戦は、地域の力を結集し、次世代につながる持続可能な社会をつくる試みでもあるのです。

会社概要

設立:1986年
従業員数:151名(グループ全体)
事業内容:住環境支援事業・地域支援事業・協創事業・総合不動産事業・通信事業
URL:https://www.lequios.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2025年 11月 15日号より