特集:各地同友会の経営研究集会・フォーラム

10月から11月にかけて、多くの同友会で経営研究集会・フォーラムが開催されました。今回の特集では、福島、三重、和歌山、大分同友会の活動を紹介します。

未来へつなぐ経営者の挑戦 ~減少社会のその先~
第49回全県企業家フォーラム【福島】

福島同友会「第49回全県企業家フォーラム2025浜エリア」は、11月14日に、いわき市のパレスいわやで開催されました。「未来へつなぐ経営者の挑戦~減少社会のその先へ~」を大会テーマに、少子高齢化・人口減少・地域の過疎化といった“縮む社会”にどう向き合うか、新しい時代にふさわしいビジネスモデルを共に考える機会となり、県内各地から319名が参加しました。

記念講演では、ジャーナリストの三神万里子氏を講師に迎え、「人口減少下のビジネスモデル~中小企業経営と地域経済活性化~」をテーマに学びました。三神氏は、今後7年間が日本社会の転換点であり、人口減少・高齢化・人手不足といった構造的課題が一気に進む中で、従来型の拡大志向ではなく「質で成長する経営」への転換が必要だと指摘しました。

外国人材の受け入れ多様化や高年齢者雇用の義務化など、多様な人材を生かす仕組みを整え、地域の人的資産密度を高めることが鍵となります。また、スタートアップ支援一辺倒ではなく、中小企業同士、あるいは中小と大企業・ベンチャーの実践的連携こそが新しい価値を生むと強調されました。さらに、地域産業試験場や金融機関、技術データベースを結ぶ“面的システム”づくりが、人口減少社会における持続的な経済の基盤になると提起。「縮小しながらも成長できる社会へ。地域の“質”を磨くことが未来の競争力となる」とのメッセージが印象的でした。

その後の分科会では、宮城同友会の仙周工業(株)代表取締役・佐藤周司氏より「経営指針」、山形同友会の(株)菓子工房COCOイズミヤ代表取締役・庄司薫氏からは「社員共育」をテーマに報告があり、その他「事業継承」「自治体の取り組み事例」「企業見学」のなどのテーマごとに分かれ、活発な学びと交流が行われました。

学びを会社の未来につなげる
第1回人を生かす経営フォーラム【三重】

三重同友会は11月17日、プラトンホテル四日市にて「第1回人を生かす経営フォーラム」を開催し、93名が参加しました。今年度より名称を「研究集会」から「人を生かす経営フォーラム」へと改め、学びの質と位置づけも大きくアップデートした新しいスタートの回となりました。

従来の研究集会は、特定のテーマに縛られず、広く柔軟に学びを深める場として長年親しまれてきました。しかし、社会環境の変化や組織の多様化が進む中で、「より明確な目的を持った学びの場にしたい」「同友会らしい“人を生かす経営”の本質を体系的に学べる場が必要だ」という声が事務局・会員双方で高まりました。

そこで同友会が掲げる3本柱(共同求人、社員共育、経営労働)を“中心軸”とし、毎年のテーマ設定からコンテンツ構成までを見直して、名称も「人を生かす経営フォーラム」へと刷新しました。この変更には、「学びを会社の未来につなげる」「経営の実践者として腹落ちする時間をつくる」という強い願いが込められています。

記念講演には、オーケーズデリカ(株)代表取締役社長・杉本香織氏を迎え、社員1人1人を尊重するサーバント・リーダーシップや逆ピラミッド型の組織づくり、理念浸透の工夫など、同社が歩んできたリアルな取り組みが語られました。“社員のために社長ができることに徹する”という姿勢に多くの参加者が共感し、「自社の組織運営を見直すきっかけになった」「社員の存在意義をもっと丁寧に扱いたい」といった声が多数寄せられました。

さらに、第1、第2分科会では、(有)丸井食品三重工場代表取締役社長・西山典孝氏、(株)佐野テック代表取締役社長・佐野貴代氏より、経営危機からの復活、経営指針書の浸透、若手登用や管理職の総入れ替え、「カイゼン文化」の継続など、企業の根幹に関わる実践が共有されました。どの報告にも「覚悟」と「挑戦」があり、参加者はメモを取りながら真剣に聞き入っていました。特に、「経営者自身が変わることの重要性」「社員と同じ方向を向くための仕組みづくり」について、多くの共感が集まりました。

参加者からは、「もっと社員を信じて任せたい」「経営指針書を本気で作りたい」「カイゼン発表会や人事異動を自社でも取り入れたい」などの具体的なアクションにつながる声が多く聞かれ、まさに“実践につながる学びの場”として大きな一歩を踏み出すフォーラムとなりました。

真の地域貢献へ多くの学びと気づきの声
第25回経営研究集会【和歌山】

和歌山同友会では、11月14日に第25回経営研究集会を有田市の有田川温泉鮎茶屋で開催しました。「共に創る未来」をテーマに約70名の参加者が集まり、地域と企業の関わりについて考えました。

第1部の基調講演では、(有)テヅカ精機代表取締役で長野同友会の手塚良太氏が登壇。「地域活性に関して会社がどう貢献しているか」をテーマに報告がありました。

手塚氏が家業を継いだ当初、同社は売上7000万円、社員14名規模で、多くの経営課題に直面していていましたが、同友会との出合いを機に経営者として成長。社員を巻き込み「ものづくりからまちづくりへ」という経営理念を策定。この理念を企業の根幹に据えた結果、社員からの提案を基に電気設備、建設、クリーニング、木工製品など新規事業が次々と立ち上がり、現在ではグループ全体で160名を超える企業へと発展しました。

手塚氏は、社員の言葉から生まれたビジョン「月曜日がワクワクする人が輝く信頼企業」の実現に向けた具体的な取り組みを紹介。「経営者の役割は社員1人1人が輝ける環境をつくること。自責の考え方を持って、学びと実践を繰り返すこと」と熱く語りました。

また、2016年に設立した木曽支部での活動にも言及があり、支部独自の経営指針づくり、行政・金融機関・学校関係者が参加するミニ例会の開催など、地域課題の共有や解決に向けた連携の場を継続的に設けている実践例を紹介しました。

最後に「同友会での学びは『学びっぱなし』にせず、『学んで実践』を繰り返すことが重要。これにより強くてしなやかな会社が作られ、『地域になくてはならない会社』になることができます」と語りました。

参加者からは「経営指針書は使ってこそ価値がある。明日から実行に移したい」「地域の困りごとや要望を理解していなければ、真の地域貢献はできないと気づいた」など、多くの学びと気づきの声が聞かれました。

第2部懇親会はすべての来賓の参加があり、懇親とともに経営課題に関する情報交換が行われ、地域のリーダーたちの真剣な議論が交わされました。

すべては笑顔の為に ~未来につなぐ挑戦~
第31回経営フォーラムin別府【大分】

11月12日、大分同友会は第31回経営フォーラムを、11年ぶりにおんせん県おおいたを代表する別府市で開催しました。「すべては笑顔の為に~未来につなぐ挑戦~」をテーマに、県内外から約194名が参加し学び合いました。

稲尾徹実行委員長の開会あいさつで始まり、塚崎伸一・代表理事、来賓の長野恭鉱・別府市長からあいさつがありました。基調講演は佐野智之氏(T―BOX代表者・元(株)当間高原リゾートベルナティオ上席執行役員統括総支配人)が「バックヤードこそ真実~幸せな組織を創るためのあり方~」をテーマに報告。1人1人が仕事に誇りを持ち、社員満足度を高めるために、社員と本気で向き合うことの大切さを学びました。

その後、3つの分科会に分かれ学びを深めました。第1分科会(障害者雇用)は、浅井順一氏((株)浅井製作所代表取締役・愛知同友会)が障害者雇用を進める中で、互いに認め合う企業風土ができていった経緯を報告。第2分科会(人が輝く企業づくり)は手塚良太氏((有)テヅカ精機代表取締役・長野同友会)が、社員が主体性を持って成長する企業づくりについて報告しました。第3分科会(経営指針の実践)は、高橋康徳氏((株)カウテレビジョン代表取締役社長・福岡同友会)が、経営指針を作成し、社員と価値観の共有を行った取り組みについて報告しました。

参加者からは、「人は思いやりで動くと感じました」「人としてのあり方、幸せについての定義など大変勉強になりました」といった感想が寄せられました。

「中小企業家しんぶん」 2025年 12月 15日号より