求人・就職活動の動向
近年、企業の採用活動と学生の就職活動を取り巻く環境は大きく変化しています。人口減少による人材確保の難易度の上昇に加え、働き方や価値観の多様化、採用スケジュールの早期化など、従来とは異なる前提で採用活動を進める必要が生じています。
リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査では、2026年3月卒業予定の大卒求人倍率は1・66倍で2025年卒の1・75倍から少し下がったものの、依然として売り手市場と言える水準にあります。
企業規模別に見ると、従業員数300名未満の企業では8・98倍で昨年からプラス2・49ポイントと大幅に上昇、一方で5000人以上の企業は昨年と同値の0・34倍で2010年卒以降の最低値を維持する形となり、採用状況の厳しさは中小企業が際立って悪化しています。大企業を中心に初任給が30万円を超える企業が出るなど、初任給の増額競争も激化し、中小企業は採用面でも厳しい環境下にあります。そうした中、逆に最低賃金の上昇による初任給の最賃割れの可能性がある企業も出てきました。
いま一度、初任給引き上げへの対応も含め労働環境の整備が必要です。
Jobway参加企業は517社で前年650社から大きく減少。2025年10月時点のユーザー数は8279名で、今年の3月から10月のユーザー総数は8万7460名となっており、昨年3月から10月のユーザー総数9万2569名と比較しても減少しています。要因としては、情報収集チャンネルの多様化や就活スタイルの変化などが考えられます。
しかし、企業と学生をつなぐ基盤として就活サイトが担う役割は依然として重要です。中小企業を最大限に生かす求人ポータルサイトとしての存在意義は維持しつつ、学生の就活ニーズに沿うような機能の見直しや、参加同友会や企業を増やしていくことが喫緊の課題です。
活動の原点を振り返り、これからを考える
中同協では、6月17~18日に2025共同求人・社員教育活動全国交流会を北海道で開催。同友会における共同求人、社員教育活動のスタートの地として「発祥の地『北海道』から切り拓く共同求人と社員教育の未来」をメインテーマに、1日目は4つの分科会(教育機関との連携、インターンシップ、事業承継、若者に選ばれる企業)が行われました。2日目は「社員教育と共同求人の50年を検証しよう~社会教育運動の原点からこれからを考える」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。運動の原点をたどり、初代中同協社員教育委員長である大久保氏からの学びも共有しながら、現在の到達点と課題や運動を進める上での事務局の重要性を確認。運動の本質を再確認し、地域に求められる同友会、企業になれるよう活動を一段上のステージへ上げていくことが提起されました。
また、交流会に合わせて企業実践事例・同友会の取り組み事例を一新した『持続可能な企業と地域のために―共同求人・社員教育活動のすすめ【改訂版】』を9年ぶりに改訂しました。
教育機関などとの連携~地域で若者を育てる
各同友会では、キャリア教育やインターンシップ、出前講座など学生に「働くこと」の意義や中小企業の役割・魅力を伝える活動が継続して行われています。
7月に実施した共同求人・社員教育活動に関する調査では、昨年に引き続き「学校からの協力要請増加」を活動の特徴として挙げる同友会の割合が最も高い結果となりました。大学への学校訪問は、36同友会328校で実施され、連携協定などを締結している同友会は34同友会・88校で昨年より増加しています。
香川同友会の三木高校との共育型インターンシップ、福岡同友会の田川市との地域で若者を育て残す活動など、地域と共に具体的な取り組みが他の同友会へも広がりを見せています。
こうした取り組みは、子どもたちにより早い段階から地域の中小企業を知ってもらうことで将来の選択肢を増やすことにつながり、また逆に経営者や社員の学びや気づきの場ともなっています。
中小企業の魅力を発信~第6回中小企業サミット
中同協共同求人委員会が主体となり、東京同友会の設営協力のもと「第6回学生と先生のための中小企業サミット」を6月6日に東京で開催し、全47同友会から112社(昨年は40同友会82社)の参加がありました。
中小企業サミットは、中小企業の魅力を発信する場の1つとして、学生に自社や地域の魅力を語り、中小企業を就職先の選択肢に入れてもらうことを目的に、2020年からこれまで5回にわたり開催してきました。昨年に引き続き、今年もインターンシップマッチングイベントとして開催し、150名を超える学生が参加しました。
インターンシップは学生にとって将来の選択肢を広げる大きな意義を持った取り組みです。他方で企業にとっても、学生に魅力を感じてもらえる企業に、そしてこれからの若者を自社に迎え入れる企業風土を築く上で大きな気づきと学びを得られる企業変革に向けた取り組みでもあります。参加企業からは「もっと採用に力を入れないと会社が変わらないと気づいた」「社内変革に取り組みたい」「運動として続けていくことが大切」という感想が寄せられました。
採用活動にとどまらない自社の変革と社会教育運動の一環として、引き続き47都道府県の力を結集して取り組みを進めていきましょう。第7回は2026年6月12日に開催を予定しています。
共同求人活動は経営指針の実践の場
共同求人活動は単なる人採りの活動ではありません。
同友会で学び、採用活動を通して自社を外部評価してもらい、より若者から選ばれる、地域にあてにされる会社へと成長することが目的です。人手不足が深刻となる中、採用を企業の重点的な課題と位置付ける企業も増えています。そうした中で自社を振り返ったとき、これから採用しようとする社員が誇りを持ち、働きがいを見つけ、人生を過ごす場になっているでしょうか。
経営理念は経営者が描く理想の「よい会社」です。「よい会社」には、社員の幸せや成長も含まれています。待遇面も1つの要素ですが、働く人が将来をかける職場としての魅力があるか、そしてそれをしっかりと伝えられているか、それらを実践し確認できる場が共同求人活動です。
そんな「よい会社」を地域に増やし、同友会理念を広げ、地域をよくしていく。
共同求人は人を育て、企業を育て、地域をつくる運動です。共同求人活動の輪を広げ、地域にあてにされる企業を増やしていきましょう。
「中小企業家しんぶん」 2025年 12月 25日号より









