2026年の始まりにあたり、新聞各社の年頭社説から世界や日本の課題を考えてみたいと思います。
今年の社説は、世界各地で分断が深まる中、民主主義や国際秩序、そして平和の危機に対する強い懸念を示す論調が目立ちます。
「戦後の国際秩序は崩壊寸前の状態にある。このまま大国が帝国主義の時代のように力ずくで覇権を争うことになるのか。(中略)世界は際どい局面に立たされている」(読売新聞)。「戦後80年の間に確立したルールや枠組みが至るところでほころび、世界も日本も新たな秩序を手探りする『海図なき時代』を迎えた」(日本経済新聞)。
世界各地で広がる戦争や武力行使への危機感もかつてなく高まっています。「世界は年々、危うい方向に進んでいる―。そう憂慮せざるを得ない息苦しい年明けである。(中略)大国の力による現状変更は法の支配に基づく国際秩序の崩壊に直結する。今はその瀬戸際だ」(北海道新聞)。「深刻な事態だ。今や世界全体が軍事と暴力に覆われているような印象すら受ける」(沖縄タイムス)。
社会の分断も深刻化し、民主主義の危機が危惧されています。「グローバル化の恩恵が市民に行き渡らず、富の偏在を生んだ。『取り残された』と感じる人々の、既存政治や社会への不満や憎悪がSNS空間で増幅され、分断が広がる」(朝日新聞)。「民主主義の侵食も進む。人工知能(AI)の進化と浸透は多くの利便と投資機会をもたらす半面、SNSを通じた偽情報や偏った見解の拡散で人間社会の分断を深める」(日本経済新聞)。
このような中、「分断の行き着く先が命の奪い合いになる歴史を、私たちは経験してきた。最悪の節目を迎える前に分断をほどく鍵を見つけたい」(西日本新聞)との思いは共通です。
では、その鍵は何か。「事実を基に対話を重ね、分かり合えないことを分かり合う。複雑な事情にも耳を傾ければ共有できる部分が見えてくる」(中国新聞)。「過去を教訓とする理性的な対話の外交こそが求められる」(北海道新聞)との指摘は重要です。
しかし、各社の社説で示された懸念が現実のものとなりました。1月3日、トランプ大統領は、アメリカがベネズエラの首都で軍事作戦を実行し、マドゥロ大統領夫妻の身柄を拘束したと発表。これに対して新聞各社は1月5日の社説で「米の武力行使を深く憂慮する」(読売新聞)、「国際秩序を揺るがす米国の暴挙」(朝日新聞)、「国際法無視の武力行使だ」(毎日新聞)と厳しく批判しています。
最後に、国連のグテーレス事務総長が新年に寄せたメッセージの一節を紹介します。「より安全な世界は、貧困との闘いへの投資を増やし、戦争への投資を減らすことから始まります」。「私たちの未来は、私たちが一致団結して行動する勇気にかかっています。新年にあたり、共に立ち上がろうではありませんか。正義のために。人類のために。平和のために」。
平和で持続可能な社会のために、人類の真価が問われる年となりそうです。
(K)
「中小企業家しんぶん」 2026年 1月 15日号より









