じわじわと上げる借入金利―財務分析の必要性

 帝国データバンクは、2025年12月17日に「全国平均借入金利動向調査(2024年度)」を発表しました。2024年度の企業の平均借入金利は1・20%となり、3年連続で上昇しています。(図1)上昇幅は0・16ポイントで、調査を開始した2006年度以降では最大となりました。長期金利の上昇が続く中、今後も平均借入金利が上昇する可能性は高く、企業業績への影響拡大が懸念されています。

 都道府県別に見ると(図2)、最も平均借入金利が低かったのは「奈良県」の0・86%で、以下「香川県」の0・93%、「鳥取県」の0・94%と続いています。前年度(2023年度)と比較すると、「徳島県」を除く46都道府県で平均借入金利が上昇しました。

 一方、最も平均借入金利が高かったのは「鹿児島県」の1・53%で、「山梨県」の1・42%、「大分県」の1・40%が続きます。「奈良県」と「鹿児島県」では0・67ポイントもの差があり、その開きの大きさは驚きです。

 分析によると、都道府県間の金利差の要因の1つとして、コロナ融資における利子補給制度の違いが挙げられています。民間金融機関によるコロナ融資には、融資実行段階から無利子となる「リアルタイム方式」と、事業者がいったん利子を支払った後に自治体から利子相当額が支給される「キャッシュバック方式(営業外収益として計上)」があります。「奈良県」や「香川県」はリアルタイム方式を採用しているとのことです。

 また、2006年度の調査開始以降、常に上位に入る「奈良県」は、業歴が長く財務の安定した企業が多いことが要因の1つとされています。「香川県」については、大都市圏に近い地理的条件に加え、四国内の金融機関同士が顧客を競い合う構図が根強く、他地域よりも低金利競争が激しい傾向があるようです。

 2024年度の日本10年国債利回りは、0・5%~1%超に上昇する局面にありました。その中で企業の平均借入金利は1・20%となっており、2025年度はさらに上昇することが見込まれます。2026年に入り、日本10年国債利回りが2・2%を超える局面も見られる中、運転資金などの借入金利は2~3%程度に達している可能性があります。

 日本は長らく金融緩和による低金利時代が続いてきましたが、物価や人件費の上昇に加え、借入金利も上昇局面に入りました。価格転嫁を進めることはもちろん重要ですが、それと同時に、損益計算書だけでなく貸借対照表にも目を向け、企業全体の財務構造を分析しながら経営を進めていくことが、これまで以上に求められています。

「中小企業家しんぶん」 2026年 2月 25日号より