インバウンドの国別動向

 2025年の宿泊旅行統計について、観光庁によると、国内のホテルや旅館の宿泊者は前年比0・8%減ののべ6億5348万人となり、30都府県でマイナスとなりました。日本人は3・8%減の4億7561万人、外国人は8・2%増の1億7787万人。宿泊費高騰による日本人の国内旅行控えが影響したと見られています。一方、外国人は円安を追い風に過去最多を記録し、全体の27・2%を占めました。

 外国人のべ宿泊者数が前年より増えたのは42都道府県に上り、東京と京都では外国人宿泊者が日本人を上回りました。宿泊先は3大都市圏が67%、地方が33%で、インバウンドが各地の観光を担う傾向が強まっています。コロナの影響で外国人旅客は2021年に24万人と最少となりましたが、その後徐々に増加し、2022年383万人、2023年2506万人、2024年3687万人と回復。2025年は4268万人(12月分は推計値)と、過去最高となりました。

 ただし、月別で見ると、中国の日本への渡航自粛要請で、中国からの訪日は2025年12月に45・3%減、2026年1月には60・7%減と大幅に減少しました。一方で、コロナ前に比べると、中国とタイ以外の国は伸びています。2025年の訪日外国人数について、20万人以上の上位21カ国を対象に、コロナ前の2019年と2024年と比較すると(表参照)、中国とタイ以外は全てコロナ前を上回りました。

 伸び率では、メキシコ279%、イタリア190%、米国191%、スペイン188%、カナダ183%、ドイツ181%と高く、欧米と言われる国からの増加が目立ちます。日本の歴史・文化・体験の人気に加え、アニメや漫画、レトロ文化なども貢献しており、安全で安心・安らぎを感じられることも増加の背景にあると見られています。

 人数で見ると、韓国・中国・台湾・香港の合計が2781万人と6割以上を占めており、圧倒的に距離が近いことが人気の理由と思われます。その次に多い層がASEAN各国とインドで、経済的関係が深まるにつれて増加しています。近さに加え、比較的安価であることや、日本の季節感を味わえることも人気を呼んでいると考えられます。また、貿易関係でも「チャイナワン」の動きの中で日本との関係が強まっていることがうかがえます。

 2024年と比べた伸び率では、3割以上増えた国として、中国とインドを除いて、ドイツ・イタリア・スペイン・メキシコが挙げられ、米国も2割を超えています。こうした動向から、欧米からのリピート層を中心に「モノ消費」から「コト消費」へと関心が移り、体験型消費を通じて地方文化を求める人が増えている様子がうかがえます。さらに、その時にしか味わえない体験に価値を見いだす参加型の「トキ消費」への関心も高まっているように見えます。

 そのため、全国で「トキ消費」に対応した外国人客への受け入れ態勢の強化が必要です。

「中小企業家しんぶん」 2026年 3月 25日号より