【代表理事に聞く】
経営指針を成文化し、社内外に発表 社員は家族、会社の発展が社員の豊かさにつながる 
(株)オーザック 取締役副社長 岡崎 瑞穂氏(広島)

 各同友会の代表理事による連載「代表理事に聞く」。今回は岡崎瑞穂氏((株)オーザック取締役副社長、広島同友会)の実践です。

「この会社の将来が見えません」。30年前、会議での社員の一言が、社長(夫である現会長)の机の中で眠っていた経営指針を動かしました。

(株)オーザックは金属製品製造業で、橋梁(きょうりょう)・建築・建機・船舶金物の製造販売を行っています。同友会に入会した35年前、社員の平均年齢は54.5歳、社員数は10名弱。入会と同時に新卒採用を始めましたが、入っては辞め、また入っては辞める状況が続き、どうすればよいのか途方に暮れていました。そんなとき、同友会の先輩から「経営指針を成文化し、社内外に発表しなさい」と助言を受けました。作成した指針を取引先や金融機関に発表し、「これで使命は終わった」と安心してしまい、その後社長の机の中で眠らせてしまったのです。

しかし、社員は将来の見えない会社に不安を抱えていました。そのことに気づいたとき、申し訳なさで胸がいっぱいになりました。そこで社員と共に経営指針作成委員会を立ち上げ、社長の思いと社員の思いを織り込んだ指針をつくり、毎年見直しながら経営計画とともに共有するようになりました。

ある日、部長が「社員が言うことを聞かないが、嫌われたくなくて叱れない」と愚痴をこぼしました。社長が「その社員がわが子ならどうするか」と尋ねると、「わが子なら叱る」と返ってきました。この言葉に、社員を家族のように思わなければ本気で指導できず、社員も本気で受け止めないのだと気づかされました。それまで私は、社員を“借金を返すための道具”のように見ていたのです。そこからは、課題が出るたびに「家族ならどうするか」を基準に考えるようになりました。

すると、「働きやすさ」を深める施策が次々と生まれました。自分の娘や息子が働く会社だとしたらどうするか…その視点で考えればよかったのです。育児支援制度、生涯現役制度、地域活動休暇、在宅勤務、完全週休2日制、育孫休暇など、制度は自然と整っていきました。

休日を増やすと生産性が下がると言われがちですが、実際は逆でした。社員は限られた時間で成果を出すために工夫し、利益も向上しました。経営指針、経営計画を共有しているからこそ、会社の発展が自分たちの生活の豊かさにつながると理解しているのです。

同友会で経営指針と経営計画の重要性を学んだおかげで、私は「社員は家族」と胸を張って言える経営者になりました。社員が幸せでなければ、お客さまを喜ばせることはできません。経営者の究極の顧客は社員であると気づかせてもらいました。

現在、社員数49名。残業は1人あたり月平均1時間、年間休日126日、有給休暇の平均取得は13日、定着率95%。新卒採用も毎年1~2名の大卒者を迎えています。

今後の広島同友会について

広島同友会は会員約3000名、政策アンケート回答率71.1%と全国でも屈指の活発な同友会です。これから県理事として、会員企業が社員の幸せを本気で追求できているか、事務局は一丸となって動けているか、働きやすい職場になっているかを丁寧に見つめ、全ての人の幸せにつながる仕組みづくりに取り組んでいきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2026年 4月 5日号より