社員が将来を描ける職場へ~働きやすさとやりがいを両立する組織づくり~
(株)サンワイーテック 代表取締役 松原 匡宏氏(熊本)

連載「わが社のSDGs」では、経営理念をもとにSDGsに取り組む企業の事例を紹介します。第31回は、(株)サンワイーテック(松原匡宏代表取締役、熊本同友会会員)の取り組みです。

サンワイーテックは、電気工事を中心とした総合建設業として、2000年の創業以来、事業として省エネルギーに取り組んできました。電気料金の削減につながる提案を行い、太陽光発電をはじめとするエネルギー分野にも注力してきた同社にとって、SDGsへの取り組みは、日々の業務の延長線上にあるものと言えます。現在は電気工事を主体としながらも、建築工事や空調設備、スマートエネルギーを柱に、環境と経済性の両立を実現する事業を推進しています。

熊本地震を契機とした事業の進化

こうした取り組みをさらに加速させたのが、2016年の熊本地震です。被災テナントの復旧対応を行う中で、電気というインフラの重要性を改めて実感するとともに、非常時のエネルギー確保の必要性を強く認識しました。この経験を契機に、同社はスマートエネルギー分野への取り組みを一層強化していきます。

こうした変化の中で、同社が重視してきたのが経営計画の策定と実践です。幹部による1泊2日の合宿で議論を重ね、SWOT分析を通じて自社の強みや弱み、外部環境を明確にした上で計画を策定。その内容は年1回の発表会で全社員に共有され、経営理念は朝礼で唱和されています。これにより「何をやるべきか」が明確になり、業績は当初の約3倍に成長しました。「経営計画は必ずつくるべき。毎年見直し、着実に実行していくことで、実際に会社を伸ばすことができた」と松原氏は語ります。

トータル提案によるエネルギー最適化

現在、同社は太陽光発電から蓄電、電気供給までを一体的に提案し、災害時にも強いエネルギー供給体制の構築に力を入れています。近年は自家消費型太陽光発電の需要が高まり、新築案件の約7割に導入されるなど、設計から提案までの業務は増加傾向にあります。設備ごとのシミュレーションを通じて、初期費用だけでなく長期的なランニングコストまで含めた最適提案を行い、顧客の経済的メリットと環境負荷低減の両立を実現しています。

また、LED設備の導入や更新、EV用充電設備の整備といった分野にも積極的に取り組んでいます。LEDは普及初期から事業として取り入れ、今後は更新需要の拡大が期…待されています。EVについては現時点では過渡期にあるものの、将来的な普及を見据え、充電設備や関連インフラの整備に対応できる体制づくりを進めています。

働きがいと地域とのつながりを生むオフィス

同社は働きやすい職場環境づくりを重視し、ウェルビーイングや健康経営に取り組んでいます。就業時間の短縮や残業削減に取り組むとともに、社員同士のコミュニケーションを促進する仕組みを導入しています。社内にはコミュニケーションスペースを多く設け、休憩時間に自然と会話が生まれる環境を整えています。また、社員証を2人で同時にタッチすると飲み物が無料になる「社長のおごり自販機」を導入しており、社員同士のつながりを深めるきっかけとなっています。

オフィス環境にも工夫が凝らされています。「感性を刺激する空間づくり」をテーマに、絵画や音楽、家具のデザインに配慮し、創造性を高める環境を整備。フリーアドレス制や昇降式デスクの導入により柔軟な働き方も実現しています。また社屋の一角に「スタジオJIN(仁)ヒガシノ」を設け、セミナーの会場として活用するほか、マルシェ、子ども食堂を開催するなど地域とのつながりの拠点としています。さらに災害時の一時避難場所としても活用できるよう、太陽光パネルや移動式蓄電器を備え、地域の安心・安全にも寄与しています。

人材育成の面では、資格取得支援や報奨金制度を整備し、社員のスキルアップを後押ししています。加えて、給与水準の向上や賞与の支給など、生活基盤の安定にも配慮し、技術系企業として人材確保が課題となる中で、働きやすさとやりがいのある職場環境づくりを進めています。

今後、物価高騰や人材不足などの課題が予想される中、同社は企画・設計・施工・管理までを一貫して担う体制の構築を進めています。「社員1人1人が将来に夢を持てる環境を整えていきたい」と語る松原氏。サンワイーテックは、SDGsの視点を経営に取り入れながら、社会に必要とされ続ける企業として、持続的な成長をめざしています。

会社概要

創業:2000年
社員数:36名
事業内容:電気工事業、建築工事業、スマートエネルギー事業、空調設備工事業
URL:https://sanwa-et.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2026年 5月 5日号より