【あっこんな会社あったんだ!】社会教育 
「人はいくつになっても成長できる」 マイナスをゼロに戻す教育プログラムが変える社会 
(一社)ヒューマンハーバーそんとく塾 代表理事 副島 勲氏(福岡)

 企画「あっ!こんな会社あったんだ」では、企業経営に関わるさまざまな専門課題に取り組む企業事例を紹介しています。今回は「社会教育」をテーマに、副島勲氏((一社)ヒューマンハーバーそんとく塾 代表理事、福岡同友会会員)の実践を紹介します。

「三位一体」の支援こそが再犯防止の鍵

 (一社)ヒューマンハーバーそんとく塾は、独自の教育プログラム「心のスポンジづくりプログラム」を活用し、刑務所出所者や少年院出院者ら、社会でつまずいた人々の自立支援を行っています。

 そんとく塾の活動は、副島氏が長年保護司として活動してきた経験が原点にあります。出所者や出院者と関わる中で、「就労」・「住居」・「教育」の三位一体の支援がなければ再犯防止につながらないと感じ、出所者が更生できるための場所として、2012年に資源リサイクルを事業とする(株)ヒューマンハーバーを立ち上げました。そんとく塾は同社の教育部門・清掃部門を特化・分社化させる形で立ち上げた法人です。

72歳からの立ち上げと、同友会で得た志

 副島氏は最初、不動産会社の経営者として同友会に入会しました。同友会で多くの経営者と関わるなかで、「人生2毛作があってもよい」という考え方に触れ、新事業を立ち上げたいという意識が芽生えました。「現状維持を現状打破に変えること」、「新商品・新規事業の開発」、「どうすれば顧客を維持できるかを考えること」、同友会で得たこれらの学びが原動力となり、72歳の時にヒューマンハーバーを立ち上げました。立ち上げにあたり、資金や場所、雇用先を確保する必要がありましたが、その際に同友会会員へ協力を求めました。「出資しても元金保証はないが事業を立ち上げたい」と情熱を訴え、1口100万円の出資金を募りました。考えに賛同した多くの経営者の支援や、その後の日本第1号のソーシャル・ビジネス・カンパニー認定など、多くの「縁」が重なり、現在の活動があります。

教育によって生きづらさを解消する

 「心のスポンジづくりプログラム」は、心理的アプローチや脳科学の知見を取り入れた独自の教育プログラムであり、特許を取得しています。これまで受講した人は単発受講で1000名を超え、教室に通って受講をした人は86名にのぼります。受講した出所者の再犯率は0%という成果を上げています。

 このプログラムは罪を犯した人のみならず、鬱(うつ)・引きこもり・発達障害などさまざまな生きづらさを抱える人々へ対しても有効です。「不安になる」、「正解を探そうとする」、「自分が正しいと思い込む」、「うまくいかない」、「不安になる」…、この負のループこそが生きづらさの正体であると同法人は捉えています。そんとく塾塾長の原田公裕氏は、今の日本の学校教育は「正解」を導くことが絶対条件となっており、思い込み知識が生きづらさの背景にあると語ります。生きづらさを解消するために、プログラムを用いて多様なものの見方をし、いろいろな情報を集め、正しい理論に基づいて正解を導くという流れを再構築します。また、プログラムでは受講生が自ら「気づき」を得るプロセスを重視しています。思考の習慣をつくることにより、短絡的に考えず、立ち止まって考えることができるのです。副島氏は「人間はいくつになっても成長できる。マイナスの状態にある人をゼロに戻すための教育が必要」と話します。

 この革新的な教育プログラムは、一般企業でも活用されています。ナンバー2や中間管理職の育成に悩んでいる企業に対して、研修の目的をヒアリングし、それに応じた研修を実施しています。これまで多数の企業で導入実績があり、売り上げ向上や職場環境改善につながっています。

全国、そして世界への展望

 副島氏の願いは、「マイナスをゼロに戻す教育」を全国そして世界へ広め、生きづらさや働きづらさを抱えた方々を納税者へ育てるメーカーになることです。しかし、この教育プログラムはまだまだ社会に広くは知られていません。全国に広げるためには、実際に企業に教育プログラムを導入してもらい、成功事例を増やすことが必要です。そのことがひいては、日本の閉塞した社会を打開する一助になり得ます。教育・福祉・行政・企業が一体となった成功モデルを確立し、誰もが何度でもやり直せる社会をめざして、副島氏はこれからも活動を続けていきます。

会社概要

創業:2017年
社員数:13名(正規12名、パート1名)
事業内容:教育・学習支援業、就労支援事業
URL:https://sontokujyuku.com‌/

「中小企業家しんぶん」 2026年 6月 15日号より