【わが社のSDGs】
同友会のつながりが生んだ現場改善 
(株)お元気さん 企画本部長 小川 達也氏(和歌山)

連載「わが社のSDGs」では、経営理念をもとにSDGsに取り組む企業の事例を紹介します。第32回は、(株)お元気さん(小川達也企画本部長、和歌山同友会会員)の取り組みです。今回は、同社の製品を導入している西裕生氏(SCRUMきのくに(株)、和歌山同友会会員)にも話を聞きました。

大阪に本社を置く(株)お元気さんは、油ろ過システム「エコレ」や浮き上がり防止フライ網カゴ「エコプラム」を展開する企業です。主力製品である「エコレ」は、ろ過材と紙フィルターを用いて揚げ油の不純物を取り除き、油を長く使えるようにするシステムで、沖縄から北海道まで全国各地で導入されています。

エコレ活用でコストと現場負担を軽減

飲食店やスーパーでは、揚げ物調理によって油が酸化しやすくなり、頻繁な交換が必要になります。交換にはコストだけでなく、廃油処理の手間や環境負荷も伴います。そこで、お元気さんは、油を捨てる前提ではなく、油を管理しながら使う「エコレ」の販売を開始しました。

和歌山県橋本市北宿で「やどり温泉いやしの湯」を運営するSCRUMきのくにも、エコレを活用している企業の1つです。同施設では、唐揚げなどの揚げ物を1日10キロ以上調理することもあり、以前は20リットルの油を2週間ごとに交換していました。

しかし、エコレ導入後は交換頻度が約1カ月に1回へと改善。厨房では「目や鼻が痛くならなくなった」「服につく油のにおいが減った」といった声が上がり、揚げ物も軽い仕上がりを維持できるようになりました。厨房環境の改善により、社員が安心して働き続けられる職場づくりにつながりました。

同友会での出会いが導入のきっかけに

こうした取り組みの背景には、同友会での学びとつながりがあります。

SCRUMきのくにの西氏は、温泉施設の指定管理会社の撤退を機に、26歳で1従業員から突然経営を担う立場となりました。経営の知識もないまま施設運営を任される中、悩みながら参加した同友会で学んだのが、「経営理念」の大切さでした。

西氏は、「理念があることで、会社として何を大切にするのかが明確になる。従業員とも共有できる指標になる」と話します。

一方、小川氏は、大阪同友会の会員からの誘いをきっかけに入会しました。沖縄にもオフィスを構えており、頻繁に現地を訪れる中で、「沖縄同友会は熱量が高い」と刺激を受けたといいます。その後、和歌山同友会に所属し、和歌山の経営者との交流を深める中で西氏と出会いました。さらに、旅館組合などを通じた交流からも関係性が深まり、SCRUMきのくにの製品導入につながりました。

小さな改善を積み重ね、持続可能な社会づくりへ

お元気さんでは現在、浮き上がり防止フライ網カゴ「エコプラム」の展開にも力を入れています。これは、大阪のパン店から「カレーパンを沈めたまま揚げたい」という要望をきっかけに開発された製品で、食材を油の中に安定して沈めることで、短時間で均一に火を通せるのが特徴です。

今後は、酸化値を測定するリトマス紙の普及活動を通じて、一般家庭にも油の管理意識を広げていきたい考えです。

一方、SCRUMきのくにでは、SDGsの取り組みとして地産地消にも注力しています。「やどり温泉で販売する理由がある商品だけを置きたい」との考えから、売店では地域の農家や小規模事業者の商品を販売。また、食品ロス削減のため、食べきれる量を基本にしたコース料理の構想も進めています。

小川氏は「現場の困りごとを解決していくことが自社のSDGsの本質」と語ります。仲間とつながり、その関係性の中から現場の小さな困りごとを改善していく―その積み重ねが、持続可能な社会づくりへと広がっていきます。

(株)お元気さん 会社概要

創業:2011年
社員数:3名
事業内容:油ろ過システム「エコレ」、フライ用補助器具「エコプラム」の開発・提供
URL:https://ogenkisun-ecore.jp/

SCRUMきのくに(株) 会社概要

創業:2015年
社員数:12名
事業内容:「やどり温泉いやしの湯」の運営、清掃管理
URL:https://www.yadorionsen.com/

「中小企業家しんぶん」 2026年 6月 15日号より