2026年1~3月期のDORでは、2025年度の設備投資に関する状況についてオプション調査を実施しました。DORでは四半期ごと(3カ月単位)に設備投資の実施状況を確認していますが、今回のオプション調査では2025年度の1年間を通した設備投資の動向をより深く捉えようと試みました。
2025年度は8割強が設備投資を実施
本調査はDORのオプション調査なので、2026年1~3月期と同じく、回答数は875(不明な回答15を除いた有効回答数は860)でした。2026年1~3月期の設備投資実施割合は33・5%であったので、「設備投資を実施していない」企業は66・5%であったと言えます。
ちなみに、2025年4~6月期の設備投資実施割合は34・5%、7~9月期は35・8%、10~12月期は32・4%ですから、おおむね6~7割の企業が「設備投資を実施していない」と捉えられます。
図1は、2025年度の1年間を通した設備投資について聞いたものですが、「設備投資を実施していない」という回答は、有効回答数(860)に対して16%(実数138)でした。四半期ごとの通常のDOR調査と違って、1年間を通して見れば、8割強の企業が何らかの設備投資を実施していたことが確認できました。
半数以上は1000万円以内の少額投資
また、通常のDOR調査では、設備投資を実施したか否かの質問をするだけであり、その金額については捉えることができません。今回のオプション調査では、図1のとおり、2025年度の1年間を通して見た設備投資の金額を聞いています。その結果を見れば、「500万円以内」で40・5%(「1~50万円(7・8%)」「51~100万円(9・2%)」「101~500万円(23・5%)」の合計)と約4割に上っています。「1000万円以内」で見れば52・6%と過半にまで達しています。
企業規模別に見ると、規模が大きくなるに応じて、設備投資の実施割合が高くなる傾向が通常のDOR調査と同様に見て取れました。企業規模が100人以上では、その約8割(77・1%)の企業が「1000万円超え」の投資をしており、その約4割(39・3%)では「1億円以上」の多額の投資を実施していました。一方、企業規模が5人未満企業では、「設備投資を実施していない」との回答が5割近く(46・7%)にまで達しています。また、10人未満の企業では「1000万円超え」の投資をしている割合が1割にも満たないことが分かりました。ちなみに、「1000万円超え」の投資は、10人以上20人未満の企業で約2割(23・7%)、20人以上50人未満の企業で約3割(34・3%)、50人以上100人未満の企業で約7割(67・0%)という結果であり、従業員が50人以下か以上かを境に違いが見て取れます。
業種別に見ると、「1000万円超え」の投資では、サービス業が24・0%、建設業が27・2%、流通・商業が29・7%、製造業が41・6%という結果であり、製造業における年間の設備投資額の大きさが目立ちます。また、製造業は、「設備投資を実施していない」との回答割合が約1割(13・2%)で4業種の中で最も低い結果でした。通常のDOR調査においても製造業の動向には注目していますが、設備投資の金額面から見ても、製造業が調査全体に与える影響の大きさを確認することができました。
「生産性向上・合理化・省力化」目的が約5割、製造業では約6割の回答
図2は、2025年度に実施した設備投資について、重視した目的を複数回答で聞いたものです。「生産性向上・合理化・省力化」が約5割(49・0%)で最も多く、「維持・補修」が45・4%で続きます。また、「情報化・AI/デジタル社会への対応」が27・2%に達している点は注目されます。人手不足が慢性化する中で、設備投資が省力化やDX推進の手段として位置づけられていることが分かります。さらには、「成長・競争力強化」の17・0%、「新事業・新サービス」の13・0%といった回答もあり、設備投資を通じた積極的な「攻めの経営」スタンスも一部で見受けられました。
業種別に見ると、製造業では「生産性向上・合理化・省力化」が約6割(60・4%)、「維持・補修」が56・8%と高く、生産設備の更新や効率化への関心が特に強いことが分かります。建設業とサービス業では「情報化・AI/デジタル社会への対応」がそれぞれ33・8%、35・8%と全体平均を上回っており、人手不足の中での現場管理や顧客対応のデジタル化が進展していることが読み取れます。
設備投資は組織的な意思決定プロセスのもとで実施
図3は、設備投資の判断のプロセスを聞いたものです。「経営幹部・役員と協議して判断している」が53・5%で過半数を占めました。「社員の意見・提案を踏まえて判断している」も22・9%に達しており、「経営者が単独で判断している(17・9%)」を上回っていることから、経営者個人の意思決定だけでなく、設備投資が組織的な議論を経て行われていることが分かります。企業規模別に見ると、この傾向が明確に出ており、規模が大きくなるに応じて、経営者個人でなく組織的な意思決定プロセスのもとで投資判断をしていることが分かります。一方、外部専門家(金融機関、士業等)と相談している企業は2・5%にとどまり、投資判断は主として社内で完結していることがうかがえます。
今後1年は設備投資には慎重な姿勢が広がる
図4は、今後1年程度の投資スタンスについて聞いたものです。「必要最小限の投資にとどめたい」といった回答が49・7%と半数近くを占めました。「積極的に投資を拡大したい」は22・0%である一方、「先行きが不透明で判断できない/様子見」が17・3%、「投資よりもリスク回避を重視したい」が8・4%といった回答があり、総じて慎重な投資姿勢が広がっていることがうかがえます。
こうした慎重な投資姿勢は、企業規模別に見ると、規模が小さいほど顕著となっています。業種別では大きな違いは見られず、通常のDOR調査において強気の投資スタンスにある製造業においても「積極的に投資を拡大したい」との回答が22・9%と全体平均並みにとどまっていました。
図5は、設備投資を今後実施する上でのポイントを複数回答で聞いたものです。結果は、「業績の見通し」が58・5%と突出して高く、「設備の費用対効果」35・5%、「キャッシュフロー状況」27・6%が続きました。設備投資の判断は、自社の業績の見通しに大きく影響を受けることが改めて確認できました。図4と関連付ければ、今後1年は業績の見通しが悪くなるため、設備投資には慎重な姿勢になっていると捉えられます。
「中小企業家しんぶん」 2026年 6月 25日号より














