人間尊重経営・稼ぐ力・経営指針 
経営実態アンケートにみる黒字企業の共通点

 中同協が実施した2026年度上半期経営実態アンケートが興味深い分析結果を示しています。

 今回のアンケートは全国47同友会から590名の回答がありました。中東情勢の影響が8割超の企業に広がるなど、先行き不透明感が強まる中、最近1年間の業況は、「黒字基調」(56・5%)が6割近くを占め、続いて「収支均衡」(25・1%)、「赤字基調」(18・3%)となるなど、厳しい経営環境にあっても奮闘を続ける会員企業の姿が浮き彫りになっています。

 今回のアンケート分析の特徴の1つは、同友会が長年実践を提起してきた「人を生かす経営」「人間尊重経営」と業績との関係を分析したことです。

 設問の1つで「『人を生かす経営』『人間尊重経営』に関連して取り組んでいること」をたずね、選択肢として「関連した内容を経営理念や経営方針などに盛り込んでいる」「社員をパートナーと考え、対等な関係づくりに取り組んでいる」「社員と共に年度計画や部門目標を策定している」など22項目を列挙。回答結果から14項目以上選択した企業は実践度合いが「高い」、13~7項目は「中」、6~1項目は「低い」と分類して業績などとの関係性を分析しています。

 その結果、例えば黒字基調の割合は、実践状況が高い企業は70・8%、中の企業は53・1%、低い企業は46・6%と、明らかに人間尊重経営の実践に取り組んでいる企業は業績がよいということが示されました。

 もう1つの特徴は、企業の「稼ぐ力」について分析している点です。設問として「『稼ぐ力』を高めるために取り組んでいること」をたずね、「新製品・新サービスの開発」「既存製品の高付加価値化」「新規顧客・販路の開拓」などの選択肢19項目のうち7項目以上選択した企業は実践度合いが「高い」、6~4項目は「中」、3~1項目は「低い」と分類し、同様に業績などとの関係を分析しています。その結果、「稼ぐ力」を高めるための取り組みの実践状況が高い企業ほど黒字基調の割合が高い(73・2%)ということになりました(実践状況が中の企業は55・8%、低い企業は46・2%)。

 さらに、「人を生かす経営」「人間尊重経営」の実践状況が高い企業、「稼ぐ力」を高めるための取り組みの実践状況が高い企業は、業績だけではなく、売上単価や営業キャッシュフロー、賃上げ、価格転嫁など他の多くの点でもよい結果が示されました。

 また、「人を生かす経営」「人間尊重経営」の実践状況が高い企業は「稼ぐ力」の実践状況が高く、「稼ぐ力が高い企業」は「人を生かす経営」「人間尊重経営」の実践状況が高いことも明らかになりました。そして、両者ともに経営指針があり定期的に見直しをしている割合が非常に高い(85%前後)ことも確認できました。

 「人を生かす経営」や「人間尊重経営」、「稼ぐ力」の向上は、理念や方針に掲げるだけでなく、具体化し実践することで企業の業績向上などにつながること。それらを進める鍵は経営指針の実践と定期的な見直しにあることを今回の経営実態アンケートの結果は教えてくれます。

(K)

「中小企業家しんぶん」 2026年 7月 15日号より