同友エコ2025―2026受賞企業を紹介する本連載。今回は、環境経営委員長賞と外部審査委員賞を受賞した(有)千田清掃(宮城同友会会員)の取り組みを紹介します。
BDFとは
BDFは、バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel)の略で、菜種油や大豆油などの植物油を原料として作られるディーゼルエンジン用の液体燃料です。軽油の代替品として乗用車はもちろんトラックや発電機、フォークリフト、重機などで使用され、地球温暖化に影響を与えないカーボンニュートラルな燃料と言われています。使用済みの油も原料にできるため、廃棄物のリサイクル、水質汚染の防止にもつながって環境負荷低減に大きく貢献します。
千田清掃が手がけるBDFは、植物由来の油とメタノールを化学反応させて製造されます。その燃料はCO2排出量が実質ゼロであり、黒煙は軽油の3分の1以下、硫黄酸化物はほぼゼロに抑えます。また、一般的なBDF製造工程に加えて「減圧蒸留」を追加し、純度99%以上の高品質燃料を生産しています。このプロセスによって、外部機関による厳格な品質検査で国内トップクラスの信頼性を有しています。現在は楽天モバイル最強パーク宮城の発電機、仙台空港のトーイングトラクター、JR東日本グループ、出光興産のB5燃料供給などに採用されており、実用レベルでの普及が進んでいます。
さらに、宮城県内1100カ所以上から使用済み油を回収し、地域と連携した資源循環の仕組みを10年かけて構築。日本が2030年までにCO2排出量46%削減をめざす中、環境や地域の将来を考える姿勢が評価される場面も増え、社員の働きがい向上にも至っています。
利益、社員、まち、3つの課題を解決するために
千田清掃の創業は1952年、その後に協同組合古川清掃公社への参加と2004年の分社化を経て千田信良社長をはじめとする16名でゼロからスタートしました。現在の同社の事業はBDF事業、し尿・浄化槽汚泥収集事業と生活支援サービス業の3本柱で、いずれも地域貢献と将来性を見据えた戦略的な事業展開を行っています。
BDF事業に取り組むきっかけとなったのは、社員からの「自社トラックやバキュームカーから黒煙を吐き出すのは、会社のイメージに合わないのではないか」という声でした。それは、東日本大震災を経て「社員の幸せとは何か」を千田氏が考えはじめたタイミングでもありました。
(1)減少していく現事業(し尿・浄化槽汚泥収集業)以外の新しい仕事づくり。(2)地域にも環境にもやさしい取り組み。(3)社員とその家族が誇りの持てる会社。この3つを実現したいと千田氏が打ち出したのが、使用済み食用油を原料としたBDF事業への挑戦でした。
地域課題への挑戦、企業価値の向上
BDFを通じて行政や大学との連携が進んだことで、大学との共同研究に挑戦する機会が増加しました。また、宮城県環境政策課からの要請を受け、社員が講師となる環境出前講座を県内各地で実施するなど、千田清掃は、環境分野における地域のリーディングカンパニーとして認知されるようになっていきました。
「地域課題は自社の課題」。同友会で経営者同士が語り合う地域課題に対し、環境分野の知見と自社の本業の強みを掛け合わせながら、研究開発・広報・交渉力を継続的に強化し、社内に蓄積してきました。
その結果、入社希望者が増え、採用面での効果も現れています。人口減少が進む地方において、人材確保は多くの企業に共通する大きな課題です。新たな仲間を迎えることは企業の成長だけでなく、先輩社員の働きがいや誇りにもつながります。地域課題と環境問題に取り組むことで、自社の競争力も高まった、その付加価値と波及効果は計り知れません。
会社概要
創業:1952年
社員数:47名
事業内容:バイオディーゼル燃料製造販売業、一般廃棄物収集運搬(し尿・浄化槽汚泥収集事業)、浄化槽維持管理業、生活支援サービス業
URL:https://clean77.jp/
「中小企業家しんぶん」 2026年 8月 5日号より










