地域の隅々に人を生かす経営の実践企業を広げよう 中同協第58回定時総会in静岡「補足報告とまとめ」

7月9~10日に中同協第58回定時総会が静岡で開催され、全同友会と中同協から1155名が参加しました。補足報告とまとめの内容および当日登壇された皆さまを紹介します。

中小企業を取り巻く経営環境は、日に日に厳しさを増しています。約30年にわたるデフレ・低成長の時代を経て、終わりの見えない物価高騰、大幅な賃上げ、金利のある社会、これらが同時に進んでいます。人口減少や地域の疲弊も深刻さを増し、私たちは大きな時代の転換点に立っています。

このような状況の中、私たちは同友会運動の新しいステージに向けて、「地域の隅々に人を生かす経営の実践企業を広げよう」とのスローガンを掲げました。このスローガンが意味するところも含め、同友会運動の今日的な重点課題として、3つに整理しました。

1つ目は、激動の時代にあっても成長する企業づくりです。全会員が経営指針を成文化することがスタートラインです。大切なことは、実践が成果となり企業成長につながっているかということです。同友会では、企業における経営指針の実践を「指針で掲げた企業像(10年ビジョン)に近づくための成果を伴う具体的な行動」と定義しています。

成果を伴う具体的な行動とは、課題解決のための具体的な方策のことです。経営指針の全社的実践を振り返り、成果と課題を整理して、その課題解決の方策を次年度の経営指針に位置づけること。そのように経営のPDCAを回し、経営指針を見直し実践する。その仕組みを社内に確立すること、この経営指針の「確立」が最も重要です。その際には『企業変革支援プログラム』を活用することで、自社の経営課題の全容がはっきりと見え、それぞれの課題も鮮明になり、具体的な方策へとつながります。積極的に活用しましょう。

2つ目は、地域に根ざす中小企業として、地域との関わりを深めることの重要性です。人口減少や地域の衰退は、社会課題であると同時に、中小企業自身の経営課題でもあります。だからこそ、自社の存在意義を改めて問い直し、社会的使命感に燃えて、地域課題や社会課題を経営指針に位置づけ、自社の課題として取り組むことが求められているのです。これからの成長する企業づくりの鍵は、社会的価値を生み出す企業づくりです。地域と関わることで、その課題も肌で感じることができ、自社の果たすべき役割も見えてきます。

人口減少の中、地域から若者が流出していけば、その地域の未来はありません。

地域で若者を育て、地域に若者を残す活動など、多くの地域課題が自社の課題とも直結し、企業づくりにつながってきます。また、経営指針に地域課題や社会課題を位置づけ、地域の中で実践することで、同友会のさまざまな活動が有機的につながり、発展しています。

全国のあちこちで、素晴らしい先進事例が育ち、今注目を浴びています。中小企業の経営において、地域との関わりを深めることは、大きな意味があるのです。

3つ目は、とても重要で急がなければならない会員増強についてです。同友会運動への社会的な評価や期待は高まっていますが、日本全体を見れば大企業と中小企業の格差は広がり、中小企業の数は減り続け、貧困層は増え続けています。このことが、同友会運動においての一番の課題ではないかと思っています。だからこそ、人間尊重の経営や同友会理念を日本の隅々にまで広げていくことが重要です。そのためには、同友会の影響力を高めることが急務です。対企業組織率が5%を超えると、影響力も高まり出すと言われています。早く、通過目標である全国5万名会員を達成し、各地域においては組織率5%を実現していきましょう。

同友会運動の柱になるのが、中小企業憲章・条例推進運動です。それは、国民一人一人を大切にする豊かな国づくりという壮大な運動です。憲章には、「中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考え、政策評価につなげる」と書いてあります。その当事者である私たちが、もっともっと多くの声を上げることが、政策への影響力となり、国を変える力となります。しかし、この運動に関わっている会員さんが少ないというのも事実です。

今回、中小企業政策・憲章・条例をテーマとする分科会では、参加者の半数以上を若い会員が占め、日本や地域の未来を明るく、真剣に語り合っていました。これまで運動を築いてきた先輩会員と、これからを担う若い世代の会員が、同じ場で学び合う姿に同友会運動の確かな継承と新たな発展の可能性を感じました。

企業づくりも地域づくりも、そして仲間づくりも、地域の中で一体として取り組み、地域で仕事をつくり、人を雇用し、人を生かす経営を実践する。そういう学びを共に実践する仲間を、地域の中に増やしていきましょう。そうすることで、元気な企業が増え強い地域になります。そして強い日本へとつながっていきます。このことが、今年度のスローガン「地域の隅々に人を生かす経営の実践企業を広げよう」ということです。

「中小企業家しんぶん」 2026年 8月 15日号より