同友エコ受賞企業(環境経営委員長賞) 継続は力なり 改善は永遠なり! あくなき改善が生んだ環境経営 
日鐵鋼業(株) 代表取締役 能登 伸一氏(広島)

 同友エコ2025―2026受賞企業を紹介する本連載。今回は、環境経営委員長賞を受賞した日鐵鋼業(株)(広島同友会会員)の取り組みを紹介します。

 日鐵鋼業(株)(広島県福山市)は、鉄板・丸鋼・型鋼などの鉄鋼1次加工販売を行う会社です。同社は社内環境を整え、社員の幸福を向上させる「日鐵内総幸福向上プロジェクト」を掲げています。3S活動(整理・整頓・清掃)などを通じて徹底した現場改善を行い続け、その活動が環境経営へとつながりました。

240トンの鉄板廃棄から始まった改革

 同社の改善活動が大きな転換点を迎えたのは2010年のことでした。当時、現場には長年の積み重ねで生じた膨大な不要物が溢れ、効率も安全性も損なわれていました。そこで、実に240トンもの鉄板を整理するという決断をします。

 「夏の暑い盛りに、社長や役員、そして全社員が総出で、山のような死蔵在庫になっている鉄板をトレーラーへ積み込み、スクラップ処分していきました。あの光景を見て、社員全員が『社長は本気だ』と悟ったのです」と能登氏は振り返ります。このとき、全社で共有した「2度と、あのような働きにくい場所には戻さない」という覚悟が、全社一丸となって取り組む、現在の徹底した3S活動の原点となりました。現在では残材管理を徹底し、1枚ずつの管理体制を構築。大きな鉄板から無駄なく部品を切り出す工夫を重ねました。これが「無駄を生まない」「資源を大切にする」という意識の第一歩となりました。

効率化をめざしてDXへ挑戦~環境にやさしい事業活動へ

 環境にやさしい事業活動を心がける目的で、2011年のエコアクション21認証を取得。3S活動をさらにブラッシュアップし、CO2削減や廃棄物削減といった定量的な目標と結びつけました。

 特に近年、力を入れているのがIT技術を活用した「見える化」とDX(デジタルトランスフォーメーション)です。かつて現場では手書きの指示書が溢れ、読み間違いや解釈の相違によるミス(無駄)が発生していました。これを解決するため、ワンタイピングで納品書まで発行できる独自のシステムを構築。さらにタブレットを導入し、図面や指示書をデータ化することで、月間約1000枚以上のペーパーレス化を実現しました。

 「紙を減らすことは、単なるコスト削減ではありません。リアルタイムで進捗を把握し、単品・多品種・短納期へ柔軟に対応できる体制を整えることで、効率を最大化できるのです」と能登氏はその意義を語ります。実際に、売上高に対する電力消費や水使用量の削減においても、着実な成果が数値として表れています。

「人」を守ることが「環境」を守る

 働きやすい環境づくりのため、新工場では気化熱を利用した冷風機「クールクリーンファン」を導入しています。従来の空調設備に比べてエネルギー消費を大幅に抑えつつ、暑さを和らげることができました。

 また、同社は2019年に全社員と対話を重ね、「10年ビジョン」を策定しました。そこでは有給休暇の段階的な増加や家族旅行の構想など、社員の幸福(GCH=企業内総幸福)を追求する姿勢が明文化されており、現在でも社員と意見を交わす会議を継続しています。また、近年の取り組みの1つである自社製品の開発では、自社の改善活動を元に社員がアイデアを出し、新商品を作成しています。

 「改善に終わりはありません。社員1人1人が主体的に考え、行動する組織風土こそが、持続可能な未来を開く力になると信じています」。100年後も必要とされる企業をめざし、改善活動はこれからも続きます。

会社概要

設立年:1964年
社員数:53名
事業内容:レーザー・ガスによる溶断、ノコ切断、切断後の開先加工/ネットワークを駆使した溶接・機械加工
URL:https://nittetu.jp/

「中小企業家しんぶん」 2026年 9月 5日号より