地域経済を守る持続可能な事業承継を探る 
日本中小企業学会第46回全国大会

 日本中小企業学会の第46回全国大会が9月12~13日、明治大学駿河台キャンパスで開催されました。「中小企業の事業承継問題~アカデミアへの期待」を統一論題に、2日間を通じて自由論題21本が報告され、「事業承継」「女性起業家」「事業継続と社会性」「構造変化への対応」など多角的なテーマが取り上げられました。

 自由論題では企業環境研究センター座長の植田浩史氏(慶應義塾大学名誉教授)、同委員の菊池航氏(立教大学)が報告を行ったほか、各同友会で調査などに協力している研究者や研究センター委員が、報告者や討論者、座長などとして大会に参加しました。

 1日目の「国際交流セッション」では、「21世紀アントレプレナーシップの含意とグローバル動向」をテーマに報告が行われ、韓国におけるスタートアップ企業に対する教育の現状や世界的な動向が紹介されました。革新的かつ倫理的・人間中心の価値観を育成することの重要性が強調されました。

 2日目の「統一論題報告」では、中小企業の事業承継をめぐり、後継者の家族関係や精神的健康、エンゲージメントへの影響、地域性や産業構造、地域内での関係性など、多様な視点から報告が行われました。その後、討論者を交えたパネル討論が行われ、事業承継を個々の企業の問題にとどめず、地域経済の持続可能性という視点から捉える必要性について議論を深めました。

 大会では、高齢化に伴う事業承継難や後継者不在による統廃業が地域の衰退につながることを踏まえ、事業承継をめぐる新たな学術的視点から議論が行われました。今後の研究においても、企業だけでなく地域や社会との関係を含めた事業承継のあり方を探究していくことが期待されます。

 なお、前日の9月11日には、日本中小企業学会と日本地域経済学会の共催シンポジウム「中小企業・地域経済と外国人材」が同会場で開催されました。

「中小企業家しんぶん」 2026年 10月 15日号より