十勝農業に迫る危機

十勝農業に迫る危機

日豪EPA交渉で北海道帯広支部が例会

 北海道同友会帯広支部では3月26日、「十勝農業に迫る危機、どうなる十勝経済~EPA、農業政策の大転換で激変の情勢変化を読む」をテーマに例会を開き、120名が参加しました。これは、オーストラリアとの経済連携協定(EPA)交渉の情勢を正確にとらえ、農業と2次、3次産業との連携の可能性を考えようと開いたもの。

 まず、佐々木市夫・帯広畜産大学教授が、EPA、FTA(自由貿易協定)や、農業を取り巻く世界的な情勢を中心に報告。北海道十勝支庁の服部課長は、「2国間の小麦、牛肉などの関税が撤廃になると、安い農産物が大量に輸入され、農業生産だけで十勝の産出額の58%に当たる1522億円、1次加工なども含めると約4500億円の損失。さらに雇用への影響も大きく、約2万9000人の雇用が失われる」と、影響の試算を報告。まさに十勝経済の崩壊ともいえる状況です。

 ディスカッションでは、大野ファーム(芽室町)大野社長が、アメリカの牛肉自由化、日本でのBSE問題などを芽室みらい牛のブランド形成などで乗り切ってきた経験を、北海道ホープランド(幕別町)妹尾社長は、農業の多角化や観光への進出など、工夫と消費者との連携で乗り切っていきたいと抱負を語りました。

 会場からの質問や意見などの真剣な論議の中、業界を超えた連携の重要さを感じた例会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2007年 4月 15日号より