全員がオンリーワン企業めざす きりしま支部(宮崎) きりしま支部代表幹事 中石 工氏((有)紙ひこうき社長)

―宮崎同友会きりしま支部は都城(みやこのじょう)市を中心に小林市、えびの市など三市八町村にまたがる広域支部ですが、この地域の特徴は。

中石 都城市は人口13万2000人で県内第2位の都市ですが、管内の総人口は28万人です。霧島盆地に位置するところからきりしま支部と呼んでいます。

 「天孫降臨」の神話のふるさとのせいか神社が多く、自然と結びついた神様(カンサーと呼ぶ)、山の神様、田んぼの神様といった具合にたくさんあり、お祭りが多い。産業は農業が主力で、肉牛の飼育が盛んです。「都城牛」のブランド名を全国に広めています。鹿児島に近く、旧薩摩藩の意識が強くて、よそから入りこみにくい地域ともいわれており、自立色のある経済圏といってもよいでしょう。

―入会されたきっかけは。

中石 私は地元の高校を卒業後、大阪で洋菓子の修行を10年積みました。郷里に帰り夢であった洋菓子店を開業、無我夢中で店をのばしたのは良かったのですが、経営の基本を勉強していないため、どんぶり勘定、おまけに社員の労働環境に配慮がいたりません。人の問題に悩んでいたとき、同友会の例会が都城でも開かれたのをご縁に入会しました。今から6年前でした。

―同友会で一番学んだことは何ですか。

中石 なんと言っても社員に対する考え方がかわったこと、そして経営指針です。宮崎での例会にも車で1時間かけて通ったのですが、グループ討論で、パートの待遇が話題になった時、私は「時間から時間まで働く人はお金が中心。仕事のやりがいまで求めることはできない」と言ったのです。ところが「パートにも働きがいがあるはずだ」と否定され、いささかショックでした。

 すぐに経営指針委員会に入り、職人もパートもやりがいのある企業にするにはどうしたら良いか、真剣に取り組んだのです。今期で指針も7期目に入りましたが、年に1回、全社員、パート、アルバイトを含めて1日かけて経営指針の勉強をやっています。まだ試行錯誤の連続ですが、昨年11月新店もオープン、パート、アルバイト含めて60名のスタッフが楽しく、元気に働く店づくりをするところまでこぎつけました。

―支部長として、この経験を支部に広げていこうと。

中石 そうです。きりしま支部は2000年3月、52名でスタートした若い支部ですが、15名の支部幹事は経営指針づくりを軸にまとまっており、これをさらに広げていくことです。私は今まで全国行事には4回参加、愛媛での青年経営者全国交流会(99年)では分科会報告をさせていただきました。全国行事にはぜひ参加すべきですね。

―支部長の抱負としては。

中石 何と言っても、会員が強い体質の企業になることです。この地域も大手流通資本の進出が予定されており、経営指針をしっかり作り、社員と共に逆境に立ち向かっていかねばなりません。会員はさまざまな特性を生かして、オンリーワンをめざすこと、霧島一から九州一、日本一の企業を出したいものです。そのことで、地域への貢献も果たせると思います。また、今年は70社を目標に来年は百社会員をめざしています。

(注)宮崎同友会は支部長を支部代表幹事と呼んでおり、きりしま支部は本年より南榮工業(株)専務石神憲一さんとの二人代表幹事体制となっています。

▼ きりしま支部の概要
支部設立 2000年3月
会員数 54名
役員数 15名
対象地域 都城・小林・えびの三市と周辺八町村(人口約28万人、企業数約2500社)

「中小企業家しんぶん」2002年6月15日号より