経済活性化の担い手に 釧路支部(北海道) 釧路支部長 福井 克美氏(トーワ計装(株)社長)

 今号では、北海道同友会釧路支部長の福井克美氏に登場していただきました。

―釧路経済の状況は。

福井 釧路といえば水産業の拠点でしたが、「200カイリ問題」以降水揚げは激減し、現在は年間13万トンと最盛期の十分の1です。国内最後の炭鉱であった太平洋炭鉱も今春閉山、別会社に移行し1600名の社員が500名に削減されました。観光面では年間300万人の入れ込みがあるなど努力は払われていますが、きびしい環境が続いています。

―そうした中でも釧路支部は会員を減らさず前進しているそうですね。

福井 そうなんです。私は地域経済を活性化させるには、元気な企業をたくさん育てることだと思います。そのためには、同友会に入って学び、企業体質改善に励む経営者を増やしていくこと。会員増強は大げさかもしれませんが、同友会の社会的使命ではないでしょうか。組織づくりは釧路市内が重点ですが、今後は厚岸(あっけし)にもぜひ地区会を発会させたいと考えています。

―福井さん自身は同友会で何を学ばれましたか。

福井 私は1984年、34歳で脱サラ、釧路の地で創業しました。技術畑の出身ですので、技術力さえあれば営業なしで仕事が入ってくると信じ、実際に当時は追風が吹いていました。ところが、社員が増えてくると社内のコミュニケーションが悪くなり悩みが増えてきます。そのころ、同友会は社員教育を熱心にやっているところと聞き、知人の推薦で1991年に入会しました。

 それまでの私はワンマン経営の典型で、社員に私の意志は押し付けるが、社員の声を聞こうとはしていなかったのです。それでは企業は発展しないことを同友会で強く思い知らされました。時間はかかりましたが、自分を見つめ直し、ボトムアップをはかる努力を続けました。今では、社員からの提案も増え、専務を中心に全社一丸の経営に進みつつあります。

―支部長の企業が同友会と共にどう変わっていったのかを示すことが最大の説得力になりますね。釧路支部の活動の特徴と今後の夢はいかがですか。

福井 釧路は紙パルプの町でもあり、函館支部に学び2年前から古紙リサイクル活動に着手しました。会員50社が参加しています。

 3年前から始めた「ど~ゆ~祭り」は社員、家族、市民含めて1万人から集まる楽しいイベントに育ってきました。今後も地域の学校、研究機関、行政との関係を大切にし、町おこしにも協力し、住みよい郷土づくりのため頼られる同友会をめざしていきます。

▼釧路支部の概要
支部設立 1975年
会員数 320名
役員数 70名
対象地域 釧路支庁管内1市8町1村(人口27万6000人、企業数約3000社)

「中小企業家しんぶん」2002年10月15日号より