「日本一最高の事務所」をめざして 中島税理士事務所 所長 中島 幸子氏(大阪)

「日本一最高の事務所」をめざして
地域力に注目しパワーアップ
中島税理士事務所 所長 中島 幸子氏(大阪)

同友会と両輪となって事務所が発展

 中島幸子氏(中島税理士事務所所長、大阪同友会会員)は1985年に税理士登録、89年に合同事務所内にて独立、92年に現・中島税理士事務所を設立しました。最初におこなったのは、自ら事務局を訪ねて同友会へ入会することでした。これからは税務会計だけでは駄目だと感じて中島氏は、経営の相談に乗れる税理士事務所をめざし、まず自分の事務所自体もしっかり経営していくことが必要と考えたからです。

 設立時の所員は4名、設立の年に経営理念を作成、第1次5カ年計画をスタートさせました。以来15年、経営指針を大切にして歩んできました。

 めざすものは「日本一最高の事務所」。2007年には20人の事務所になりました。「量は質を保証し、質は量を保証する」、同友会の増強活動で学んだ考え方を所内にも取り入れ、実践しています。

徹底した全員参加で経営指針作成と実践

 同事務所の大きな特徴は、まず経営指針が挙げられます。5カ年計画は所員全員が作成しています。もう1つは、所内に委員会制度を設置し、全員参加型で事務所運営をしていること。委員会は商品開発・研修・プロモ・広報・ITがあり、1年未満の新しい所員も、委員会に所属して活動することになっています。

 経営指針の個別方針に基づき、どの部門が何をやるかを明確にすることが実践の上で大切です。同事務所では、「目標チャレンジシート」で、一人ひとりが目標に対して何をしていくかを明確にしていきます。

 毎年8月に経営計画の作成が始まり、12月初旬の1泊研修でつくり上げます。準社員扱いのパートさんは任意参加とされますが、実際はほとんどが参加しています。

中小企業憲章で地域とのかかわりを見直す

 これからの事務所のあり方として、経営理念に謳(うた)う「中小企業経営の発展に貢献する」ことが大切とし、同事務所では1社当たりにかかる時間が長く、1人当たりの担当件数は少なくなっています。銀行や弁護士から紹介されたスポットの「相続」や、お医者さんの仕事は「中小企業の発展…」の理念に合わないため、受けなくなりました。年1回の申告だけの仕事では「経営の発展に貢献」とはならないので遠慮し、経営としっかりかかわっていくことを条件にしています。

 「今年度同友会で、中小企業憲章推進本部長の役をいただき、思いを新たにすることがあり本当に良かったなと思います」と中島氏は言います。それは「中小企業の発展…」の経営理念にぴったり合致することと、逆に地域力の観点が今まで弱かったことに気づかされたことです。

 今まで地域を限らず顧問先を広げてきたことから、事務所のある南税務署管内のお客様は少数でした。そこで「プロモ委員会」で担当し、塾をお知らせするポスティング用の案内を作成。全員で事務所から1キロメートル以内をターゲットに1000枚ほど配布しました。中島氏も50部ほど訪問しながら歩き、古いビルが多く空室も目立つこと、印刷関連の小規模な会社が多い地域でしたがその数も減っていること、跡地にマンションビルが建ち商業地が住宅地に替わりつつあることが、ここ数年の地域の特徴的な変化であることを改めて感じたと言います。

 また、近所の紙工会社に生国魂(いくくにたま)神社の夏祭りのポスターが貼ってあったのをみつけ、まずは、お祭りからでも地域を意識していこうと、寄付を申し出、所員と一緒に参加しました。

お役立ちの証明は50年の存続

 決算書等についての講座の開催は、本業を活(い)かして地域でできるお役立ちの1つとして取り組んでいます。また、顧問先には経営計画書の作成を強力に勧めています。経営体質を強化することは中小企業経営への貢献でもあり、地域への貢献にもなるとの思いからです。

 同事務所の描くビジョンは、50年以上の事務所存続を打ち出した「50年ビジョン」。世の中の役に立っていることの証明は、50年の存続であろうと定めています。また、「最高の事務所」は質・量の両方が必要だとの思いから、100名以上の人員を展望しています。

 高い志と徹底した実践、さらに地域力の観点を加えてパワーアップした中島税理士事務所がいよいよ真価を発揮してきました。

 2008年1月から事務所名が「N総合会計」に変わります。中島のNではなく、「日本一」のNです。「お客様の立場に立って経営をサポートし日本一最高の事務所を目指す」という思いが込められています。

(「OSAKA中小企業家」8月号より)

【会社概要】
設立
 1992年
社員数 20名
業種 税理士業務全般(税務相談・マネジメント)・コンサルタント業務     (マーケティング戦略)
所在地 大阪市中央区安堂寺町
TEL 06-6763-3995
URL http://www.n-office.gr.jp/

「中小企業家しんぶん」 2007年 11月 15日号より