地域で頼りにされる同友会へ 北部支部(沖縄) 北部支部長 比嘉 ゑみ子氏((有)やんばるライフ専務)

 沖縄同友会北部支部は、沖縄本島北部、ヤンバル(山原)と呼ばれる地域で活動する支部です。

 今年、設立13年目を迎えますが、設立から3年前までは、20名前後の支部で、支部総会に来賓として出席した市長が「同友会ってどういう団体?」と聞くほどでした。

 現在、会員は2・5倍に。最近では地域の商工会とも協力して、落書きで汚れたトンネルに「美術館」を創(つく)る運動など、地域活性化の一役を担い、市長からは「頼りになる」経営者団体になっています。こうした支部活動の中心を担っているのが沖縄同友会初の女性支部長である比嘉ゑみ子さん((有)やんばるライフ専務)です。

―沖縄の北部という地域の特徴を。

比嘉 2000年のサミットが開かれた万国津梁館(ばんこくしんりょうかん)や世界有数の水族館(国立「沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館」)があり、また、県鳥のノグチゲラやヤンバルクイナが生息し、さらにジュゴンの生息で基地建設にゆれる地域でもあります。

 もともと農業主体の過疎地域で、事業所の規模が小さく、組織率も低いところです。最近では北部振興策とのかかわりもあり、「癒しの里」として健康産業等の振興が進んでいます。

―同友会入会のきっかけと学ばれたことは。

比嘉 経営の学びの会ということで入会しましたが、入会した当時の北部支部は、例会に参加しても1ケタ台の参加者で同友会らしい学びの場がありませんでした。しかし、県例会や他の支部例会に参加すると、きっちりグループ討論を行っていました。「北部支部もそうならなければならない」と思いました。3年前に支部長になったときに「まず、グループ討論ができる支部にするにはもっと会員を増やそう」と呼びかけました。会員増強に力を入れると同時に、支部例会には県の代表理事・副代表理事を報告者にグループ討論ができるようにしました。

 私自身、商工会や他団体の活動経験もありますが、同友会はなによりもヒモ付き団体でないということが、自主性のない組織と違うということです。ですから本音でハダカになって経営を語り合うことができ、気づきのできる会だということで例会を中心に学びあってきました。

―支部活動の特徴や地域とのかかわりは。

比嘉 まず、支部例会の充実と会員増強。次に、支部独自の経営指針作成講座を開設して、経営指針づくりを進めました。また、サミット会場の万国津梁館があるおかげで、全国・県の大きな行事に設営担当としてかかわることによって、会員自身が同友会での学びを深める機会に恵まれました。

 それから、地域の皆さんに同友会を知ってもらう活動と同時に、地域おこしにかかわってきました。

 その一つが、大西トンネル美術館を創(つく)る運動です。きっかけは、市長や学校からでしたが、私たちは、あくまでもボランティアではなく街おこしとして位置付け、商工会青年部や観光協会などの10団体に呼びかけて実行委員会(委員長は北部支部長)をつくりました。昨年の6月に実行委員会を発足し、11月11日にオープンできました。この運動で、学校とも協力し合う中で、子供たちが公設市場の人たちと初めて交流するなど、地域の幅広い人の輪ができつつあります。

―支部長として、今後考えていることは。

比嘉 同友会の学びを多くの経営者に知ってもらい、入会してもらうとともに、自らの地域は自らの手でつくっていく、その中で同友会の存在価値を一層高めていきたいと思います。

▼北部支部の概要
設立 1990年
会員数 47名
役員数 18名
対象地域 1市2町7村(人口12万4000人、企業数約800社)

「中小企業家しんぶん」2003年 3月15日号より