理念ある経営で仕事づくり 前橋支部(群馬) 前橋支部長 石田 勝弥氏((有)オート企画パックアール)

―前橋市の特徴は。

石田 県庁所在地で、国の出先機関も多数あり、役所相手の仕事が比較的多く、安定志向が強い、おとなしい地域といえるかもしれません。繊維産業はすたれて久しく、ダイハツ、ビクターなど大手メーカーの下請けは空洞化の直撃を受け、商業中心の地域となっています。

―同友会で学ばれたことは。

石田 1993年、群馬同友会の研究集会に参加し、勉強熱心な人たちとの印象を持ち入会しました。経営指針、中でも経営理念の確立がいちばん大きな学びでした。趣味が昂じて始めた商売なので、行き当たりばったりの経営でした。経営理念を勉強することで企業の社会性の大切さを認識し、お客様以外の地域の人たちともどうかかわるか、という視点がすわりました。

 支部の社員教育委員を務めた時は社員教育の方向が定まらず、会員も集まりませんでした。そのとき委員会の中で反省したことは、これまでは経営者にとって都合のいい社員操縦法を学ぼうとしていた、教育とは経営理念中心に考えるべきだということでした。

―具体的な支部活動は。

石田 私は入会8カ月後から運営委員や副支部長を経験してきましたので、2001年度に「今まで“一般会員”をやったことがないから経験させてほしい」と無理を言って役員を降りました。一会員になってみると、毎月1回の例会のタイミングが悪いと2~3カ月会う機会がなくなり、出づらくなることがよくわかりました。この経験を生かして今年のスローガンは、(1)広く深く会員相互の結びつきを強めよう(2)楽しく真剣に学ぼう、にしました。毎月支部例会のほかに、サブ例会も開いています。

―今後の抱負を。

石田 前橋支部から、新しい製品や商品が生み出されればと考えています。昨年、群馬サイクルスポーツセンターという財団が民事再生法の適用を受け、代替企業を探しているという話を聞き、支部の仲間4人と再建計画をつくり東京地裁に提出したところ、他の3社に勝って私たちが経営することになりました。

 管財人の「この人たちには理念がある」という言葉がうれしかったですね。他の3社はコンサルタントの作った数値計画が中心だったようです。利益が出ていても、理念がないと精神的には飢餓状態になるものです。同友会ならではの理念に裏打ちされた仕事が支部からたくさん生まれてほしいと思います。

▼前橋支部の概要
会員数 140名
役員数 27名
対象地域 前橋市(人口28万4000人、企業数4920社)

「中小企業家しんぶん」2003年 6月15日号より