―根室経済の状況はどうですか。
杉山 根室は水産の町で、市の経済の約6割が水産関連といってよい。日本の最東端、納沙布岬から2・5キロメートル先はロシアです。つまり、ロシアとの政治折衝で漁獲量が毎年増減するのです。しかも春のサケ・マス漁は入漁料を払って漁をします。その年によって違いますが、漁獲キログラム当たり約300円の入漁料を払います。これは経費全体の約半分に相当しますので、経営は大変です。
他方で、近年はカナダ、南米の安い輸入品との競争を強いられています。かつては、サケ・マスが根室漁業の主流でしたが、今はサンマの数量が日本一、浮き沈みの激しいのが特徴です。
―杉山さんは、カニが専門ですね。水産業界のリーダーとうかがいましたが、同友会への入会のきっかけは。
杉山 私は、1974年に創業し、カニを中心に水産物の製造・加工・販売を営んでいます。年商は約30億円で、社員は30名います。
同友会への入会は95年です。私も理事をしている水産加工組合の理事長が、前支部長でした。その方に「必ずいいことがあるよ」と勧められたのがきっかけでした。
すべて勉強になっていますが、特に社員教育が役に立っています。片腕である常務も一緒に参加していますが、同友会精神を幹部と学びあえることがいいですね。
支部長には、97年からさせられています。辞退したのですが、「支部長やると、人前での話がうまくなるよ」(笑)が殺し文句でした。
―支部長として今後どのように活動を展開されていきますか。
杉山 まず、私自身、同友会のお蔭で全道の皆さんと交流が進みました。ですから、仕事の上でも、販売のチャネルを中卸から直営店、通販、全国のデパートでの催事実演販売と広げていく、たくさんのヒントをいただいたのです。
根室市は、1965年ころの人口約5万人をピークに減り続け、今は3万3000人です。観光客も年間4~50万人の入りで、増えてはいません。しかし、根室の価値を内からも外からも深めてみれば、必ず誇れる文化があるはずです。
支部では、若い経営者の「山高会」と幹部の「番頭会」が活発に活動しており、この人たちが次の根室を切り開くものと期待しています。根室は日本の最東端にあり、「日出る港町、根室」、同友会組織率は全道一、大いに頑張っていきたいものです。
▼根室支部の概要
設立 1984年
会員数 64名
役員数 28名
対象地域 根室市(人口3万3000人、企業数約500社)
「中小企業家しんぶん」2003年 12月 15日号より