地域の発展考える理念の筋が通った支部に 戸田・蕨地区会(埼玉)

戸田・蕨地区会長  小山 忠氏(小山企業(株)常務取締役)

―地域の特徴は。

小山 蕨(わらび)は宿場町として栄え、今は商業の町です。江戸から荒川を戸田の渡しで越えて最初の宿場でした。大正時代から続くひな祭りのお雛様を売る“ひな市”は今も“苗木市”として多くの人で賑わいます。戸田は倉庫業の集積度が高く、印刷業も多いです。人口は増え続けており、税収は多く財政的には豊かです。東京に近いため、地域への関心が低く、郷土意識が薄いのも特徴です。

―入会のきっかけは。

小山 1988年共同求人活動に魅力を感じて入会しました。合同企業説明会で隣のブースの会社はうちより小さいのに学生が大勢集まるのを見て、企業規模や業種などではないことがわかりました。いかに自社がPRがへたかということもわかったし、共同求人参加企業同士の情報交換もとても役に立ちました。若い社員は、さぼることばかり考えているのではないかという先入観を持っていましたが、新卒採用を通して、任せれば責任を持ってやってくれることもわかりました。肝心なのは経営者の接し方です。そのころ聞いた大田堯先生の「社員はパートナー。打てば響く関係である」という話も身につまされました。

―同友会の良さについて。

小山 いちばん良い点は、会員が経営を前向きに切り拓(ひら)いていこうとする自立の精神を持っていることです。それは同友会活動にも発揮されています。学びあいは真剣ですし、理事会などをわけもなくだらだらとやることもないですね。

―地区会の特徴を。

小山 今年度のスローガンとして「わが社の売りは何か。知恵を絞って企業の独自性を確立しよう」を掲げています。これは意外に経営者も自社の強みを理解していないことから、自社の独自性を知るために洗いなおしてみようということで始めました。自社の売りを、ITなども使いながら上手に発信することが大切ですね。

―最後に今後の抱負を。

小山 戸田市は財政は豊かですが、地域ブランド戦略が少なく、商工業者の声に期待をし、力を貸してほしいという要請が同友会にもきています。商工予算は東京に本社がある大手企業が使い、地元中小企業の市場はなかなか広がりません。そういう意味でも中小企業憲章制定の運動をじっくり進めたいと思います。時間はかかりますが、中小企業家としてプライドを大切にしながら取り組めば、世の中は変えられると思います。

▼戸田・蕨地区会の概要
設立 1975年
会員数 52名
役員数 23名
対象地域 戸田市、蕨市(人口18万人、企業数3000社)

「中小企業家しんぶん」 2005年 9月 15日号より