「妥協のない学び合い」「妥協せずに実践」 阪神支部(兵庫) 阪神支部長 山城 雅照氏(英貴自動車(株)専務)

―地域の特徴を。

山城 6市1町、人口160万人の広い地域です。尼崎は大阪に隣接、製造業が多い中小企業の町ですが転出企業が多く低迷しています。西宮は洋菓子、灘の酒の一部を担う酒蔵などのほか文教の町でもあります。その他は、ベッドタウン化が進んだ地域です。

―入会のきっかけは。

山城 1990年(平成2年)、銀行の経営計画勉強会で隣にすわった方が、大阪同友会の副支部長さんでした。「あなた勉強が好きなようだから、いいところに連れて行ってあげよう」と連れていかれたのが同友会の支部例会でした。2次会にも同席しました。そこで出会った経営者の姿に大変驚きました。ある社長は、退社しそうな社員と3日3晩話していると言うんです。私はそれまで大企業のサラリーマンでしたから、中小企業の社長というのは、家を大きくすることやベンツに乗ることばかり考えているんだろうと思っていたのです。即入会でした。

―その後、兵庫同友会へ移られたんですね。

山城 大震災の翌年兵庫同友会に入会し、はじめは東神戸支部に所属し、5年前阪神支部に移りました。4年前初めて支部の運営委員となり委員会に出席しましたが、後ろ向きの意見が多いことにがっかりしました。発奮して会員拡大実行委員長に立候補し、ちょうどその年に策定された支部の2005年ビジョンの目標200名会員に向けてスタートを切りました。当時の会員数は100名でした。その時から45カ月連続入会者を迎えています。

―会員増強の秘訣は。

山城 例会に誘うことです。阪神支部では、過去3年間「妥協のない学びあいの場」という例会スローガンを掲げてきましたが、今年からは「妥協せずに実践」を加えました。

 例会には必ず15名前後のオブザーバーの方が出席します。この方々が新入会員になっていきます。例会報告者は他県の同友会からも来てもらっています。一方で、小さな集まりであるブロック会では、支部会員が経営体験を報告するようにしています。

 また、入会時には、「わたしの経営」と題して、「経営の考え方」「外部環境分析」「自社事業分析」「基本方針」などをB41枚の用紙に書いていただき、2週間以内に提出してもらっています。これはその後の経営指針づくりでも役に立っています。

―経営指針づくりは支部でも力を入れていますね。

山城 「経営指針入門勉強会」を前期と後期の年2回行っています。作成した経営指針を会員の前で発表する「実践勉強会」は毎月開いています。「おれはもう同友会は卒業した。県の行事は出席するけど支部には出ない」と言われた元役員に「実践勉強会」に出てもらったところ、「こんなにすごい勉強をしているのだったら出席する」と言ってくれたことはうれしかったです。

―役員会の様子はいかがですか。

山城 役員会で前月の例会の反省をする時に、「先月の例会がどうだったか」を話しあうのではなく、「先月の例会で何を学び、社内でどう実践したか」を出し合うようにしています。

 同友会は、役員になった方が最も学ぶことができます。私自身、以前は「うちの社員はどうしようもない奴ばかりだ」と言っては、支部の役員から批判されていましたが、支部長になってから、ほかの役員の皆さんが本当に社員を大事にしていることがよくわかり、社員に対して一方的にものを言うようなことをやめ、問いかけるようになりました。

―最後に今後の抱負を。

山城 まずは年度末までに200名会員を達成、さらに300名にして、「はんしんセンター」を設立することです。行政区ごとにしっかりした組織をつくり、地域に対して発言できる会にしたいと思います。そうなった時、中小企業憲章、中小企業振興基本条例制定への力となることができるでしょう。そのためにこそ自分の会社をよくしないとダメですね。全国の皆さん、来年2月の全国研究集会ぜひお待ちしています。

▼阪神支部の概要
設立 1978年3月
会員数 176名
役員数 26名
対象地域 尼崎市、西宮市、伊丹市、宝塚市、川西市、芦屋市、猪名川町(158万人、1万1500社)

「中小企業家しんぶん」 2005年 11月 15日号より