暮らし支える基盤づくり【愛知】

 中同協は、2010年に全国5万名会員を実現するという目標を立てて会員増強運動を進めています。 愛知同友会は「2010年ビジョン」のなかで「2010年5000名」を目標にして会員増強に取り組んでいます。「増強推進本部」では、同友会の3つの目的のなかでも「経営環境改善」の第一歩と会員増強を位置づけ、3支部44地区がそれぞれに自主目標を持って取り組んでいます。愛知同友会の増強の様子を紹介します。

2010年5000名めざして

 愛知同友会では会員増強を、会員を増やす「増」と組織を強くする「強」とに役割分担して取り組み、新会員の入会と定着を同時に進めています。

 昨年4月9日(今年は4月15日開催)には各地区会長、増強委員、支部3役など101名が参加して「増強研修会」が開かれました。毎年年度始めに開いており、そこでは、各地区の実践報告をもとにグループ討論し、1年間の増強活動の決意を固め、同友会で学び、経営で実践することの大切さを確認しています。

 同本部では「増強の手引き」(A4版24ページ、毎年改定)を発行し、「なぜ会員を増やすのか」「増強の基本方針」「ワンゲスト運動」解説などのほか、各支部の増強方針や目標、地区の実践報告などを掲載し、会員だれもが会員増強の意義を同様に理解し、取り組めるようにしています。

 「数字だけが1人歩きしやすい会員増強ですが、人の暮らしを支える基盤をつくるため、同友会を大きく強くしていくという意義を確認し、1人の会員が1人増やすことを大事にしています」と平沼増強推進委員長は話しています。

会員増強率が5年連続県内1位 愛知・稲沢地区

 2月に開かれた「中日本ブロック会員増強交流会」では、2001年に設立され増強率5年連続トップという愛知同友会稲沢地区の森健次・前地区会長が、以下のように報告しました。

 稲沢地区は、名古屋市を取り巻くエリアを持つ尾張支部の中にあり、私が入会したときは、まだ設立されておらず、100名を超える一宮地区に所属しました。

 例会会場は自社から遠いこともあり、会社のある稲沢にぜひとも地区をつくりたいと、稲沢地域での増強に力を入れ、19名で地区をスタートしました。

 副地区会長となり、まずは同友会をよく知るために、出られる会議にはすべて出席。例会は地区会員の報告から学ぶことを大事にし、3カ月前にテーマと報告者を決め、事前の打ち合わせではお互いの経営の悩みを語り合える環境を作っていきました。

 「報告者が一番得する例会」となり、会員間の付き合いも広がり、一人ひとりの会社の状況や家族の様子がお互いよく分かるようになりました。

 小さな地区ですから、増強数では大きな地区に勝てません。とにかく増強率では愛知で1位になろうと、みんなで声をかけあい、地区発足以来、毎年増強率はトップとなり、69名(3月末)になりました。

 中小企業の奮闘ぶりを劇にした「雪どけの陽(ひ)」の準備に全員で取り組み、会員間の連帯感が増し、地区全体が1つになってきています。

演劇「雪どけの陽」 同友会を地域に知らせる

花木社会保険労務士事務所 所長 花木 裕明氏

 3月16日、土砂降りの雨の中、超満員に膨れ上がった定員500名のホールの熱い視線を集めながら、1年かけて愛知同友会稲沢地区会員全員で作り上げた演劇「雪どけの陽(ひ)」の緞帳(どんちょう)が上がりました。

 この演劇は、社員5名の町工場が舞台です。

 稲沢地区は、「稲沢地区が同友会に何を発信できるか」など毎年地区テーマを設け、活発な活動を行っています。発足5周年、自然に会員間で話が盛り上がり、「同友会理念」「労使見解」をわかりやすく伝える方法として、「演劇」をすべて手作りで披露し、会員のみならず、地域の方にも同友会活動を広く知ってもらおうということになりました。

 披露する会場(尾張支部総会)の確保、どんな劇にするのか、脚本をだれが書くのか、演出は、出演者は、舞台は、など難問山積。議論に議論を重ね、ひとつひとつクリアし、当日を迎えました。

 この演劇を通し、みんなで作り上げていくということを「会社」に置きかえ、「中小企業が生き残っていくことが困難な時代の中でも、やり切ったという自信と会員間の強固なきずなをこれからの会社経営に生かせる」と、演劇に携わったものすべてが実感できる1年となりました。

「中小企業家しんぶん」 2006年 4月 15日号から