地域づくりの主体者の自覚を【中同協】

中同協役員研修の参加者レポートより

 今回も、前回に引き続き、岩手で行われた「第7回中同協役員研修会」の参加者レポートより、自社と地域の課題をしっかり結びつけていこうという決意あふれる北海道と岩手から参加した2名のレポートを紹介します。

地域の経営指針づくりが急務

(株)ライナーネットワーク 代表取締役 安井 清吉氏
(北海道/旭川支部副支部長)

 同友会理念の真の深さ、本質性を強く学ぶことができました。私たちはその体現者でなければならないと同時に、一朝一夕にしてできあがったものではない歴史に支えられた運動理念を学び続けること、会員に広げることの役割を強く認識しました。

 同時にこの学びが仕事や生き様に深く係わった最重要課題であるということを再認識しました。

 具体的に、その理念を生かした経営ということでは、自主・民主・連帯の精神、労使関係の理念というものをしっかりと基盤にすえた、理念実践型経営をするということです。とりわけ、企業づくりで間違ってはいけないことは「継続だけでは不十分、発展成長させなければ真の理解者ではない」という鋤柄幹事長のご指摘をしっかり受け止めたいと思いました。

 赤石会長のお話からは、同友会理念の普遍性と先見性を改めて強く学ぶことができました。また今の時代と世情をどう理解するかという視点で、中小企業憲章制定運動の本質性と、正に焦眉(しょうび)の課題であるということを強く学びました。

 地域づくりという視点では、現に地域が成り立たない悲鳴を感じる昨今です。まず、同友会がその主体者となって行動しなければならないということを自覚しました。他方、地域においてはまず、地域深耕、連帯、資源の集中という作業が急務です。つまり「地域の経営指針づくり」ということだと思います。その中で自らの経営指針も同時に重視しなければなりませんが、その場合は、地域の中での自社の活躍する分野の「総合化」という戦略で仕事の幅を広げていくことが大事です。

 同時に、行政や他団体や学校などと連携した作業が必要であるし、その根本的ベースに各地の中小企業振興条例づくりがあるということだと思います。

社員を元気にする経営者の姿勢

(有)ホクブ・プランニング 代表取締役 田村 武氏
(岩手/盛岡北地区会長)

 自分の課題としては、経営者としての姿勢のあり方がいかに大切なことなのかということです。

 自分の人生、自分の家族の人生はほんとうに真剣に考えると思うけれど、社員の人生や、ましてその家族の人生まで真剣に考えてみたことがあったのかなと改めて思いました。労使関係は社長と社員だけの話ではなく、そのまわりの家族にも大きな影響があるのだから。

 さらに、個々の成長についてももっとたくさんの学びと実践の場を社員に与えてあげることをしたいと思いました。「自分が成長しないと社員を導くことができないから」と、研修や出張をくり返していたけれど、一緒に連れて学ぶ方法が良いと改めて思いました。

 会社の課題としては、足元から元気にする、社員を元気にすることが大切であると学びました。

 手段はたくさんあろうかと思いますが、まずは自分(経営者)が目標を示し、実行することではないかと思います。そして各自にも役割を担ってもらい、それを実践してみることかと思っています。経理の面の充実も大切なことで、安心できる会社とは、給料をしっかりもらえて喜んで仕事ができ、夢を語れる環境づくりから始まると思います。そのための方針をしっかり示し、協力し合い、進むことかと思います。

 同友会の課題としては、地区の会長の立場としては同友会理念を深め、訴えながら、会員訪問をすることから始めなければならないと思います。もちろん自社が元気にならなくては訴えも弱いので、両立しながら行動したいと思います。そして会員仲間をもっと信頼して、力を借りて、ひとりでは不可能なことも共に力を合わせて取り組み、会員の拡大に努めることが重要な課題だと思いました。

「中小企業家しんぶん」 2006年 12月 5日号から