会員増強は思いの強さで決まる【滋賀】

「何のために経営するのか」の問いかけから

滋賀同友会政策委員長 宮川卓也氏
(宮川バネ工業(株)代表取締役)

 今回は、滋賀同友会政策委員長である宮川卓也氏に、会員増強にかける思いを聞きました。

―会員を増やすという気持ちの根底にあるものはなんですか。

宮川 第1に、さまざまな経営問題に直面し、悩んでいる多くの若い経営者、後継者に自信と誇りを持ってほしい。その学びの場として、より強く大きな同友会でありたいということです。

 第2には、同友会のめざす「人間尊重の経営」が今の日本を救い、これからの世の中を創っていくということです。

 第3に、現在の社会に欠落している「理念」「哲学」の確立の重要性を訴え、社会に広めていく伝道者を増やしたいということです。

―どんな増やし方をされていますか。

宮川 若い経営者に「何のために経営をするか」という問いかけをし、経営に真剣に向き合う話をする中で同友会を勧めています。取引先の若手社長を集めて自主的な勉強会も開いています。7~8割は入会していただけます。

 地域のテレビ放送で紹介される元気な中小企業を見て、入会を勧めに行ったりもします。

 あるローカル放送で、和ローソク製造業の会社に戻ってきたという息子さんが、先が見えないという悩みを語っているのを見て、すぐに訪問し、入会していただきました。

 何よりも、自分自身と自社が同友会で学んで成長した姿を見せられるよう努力することですね。

―入会に際してのドラマもいろいろあるのではないですか。

宮川 少し遠い地域に同友会のチラシのポスティングをした時のことです。私の地元は大雪だったので、すごい出で立ちで出発しました。ところが行った先は、良い天気だったんです。ある会社で社長室に招き入れられ、話を聞いていただくことができました。結果として飛び込みの営業になりましたが、こちらの服装が恥ずかしくて、落ち着いて話ができなかったということがありました。1年くらいお話をし続けて、入会に至ったケースもあります。

 滋賀同友会では、「経営指針を創る会」の受講の勧めが直接の入会動機になる場合が多いのですが、受講後、理念を大切にする経営をめざし始めた人が、同友会運動の新しい担い手になっていきます。これこそ最大のドラマです。

―最後にもう一言。

宮川 同友会活動の質は究極のところ、自分が他の人にどのくらい入会を勧めたいと思っているか、その思いの強さによって決まると思っています。精いっぱい“おせっかいな”同友会運動でありたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2007年 3月 15日号から