学べる・増える・強い組織づくりを
2010年5万名達成、2008年1月4万名達成へ
「2007組織問題全国交流会」が8月22~23日、東京で開かれ、37同友会と中同協から105名の役員と事務局が参加しました。1日目は、広浜泰久中同協幹事長(千葉同友会代表理事)の問題提起に基づき、組織づくり、役員づくり、会員増強について討論、2日目には同友会の規模別に4つの分科会が行われ、岩手、滋賀、沖縄、大阪の4同友会からの報告を受け、組織強化への課題や今年度の増強目標をいかに達成するかについて討論を行いました。問題提起の要旨と各分科会の様子を紹介します。
【問題提起】
地域づくりに責任を持てる組織めざして
同友会理念を地域のすみずみに広げよう
「運動」という視点で臨んでいますか?
中同協幹事長 広浜 泰久氏((株)ヒロハマ社長)
学べる組織づくり
同友会の真骨頂は“学びあい”にあります。“多彩な活動”という名のもとに、同友会本来の“会員の経営体験をベースに学びあう”という王道から外れていることはありませんか。
例会の充実のためには報告者との打ち合わせやリハーサルなどはていねいに行い、討論の進行役であるグループ長の養成は常時行いましょう。例会マニュアルやグループ討論のマニュアルは大切ですが、肝心なのは、しゃくし定規に進めることではなく、参加者の経営課題、悩みに沿いながら全員の意見を引き出し、新しい課題を持ち帰ってもらうことです。問いかけ、受け止め、投げ返し、まとめていくことがグループ長の役割です。
また、新会員やオブザーバーを1人ぼっちにさせるような運営になっていませんか。
例会の充実は役員の問題意識いかんにかかっています。役員がどのような企業づくりに挑戦しているかで例会の質も決まります。
役員はモデル企業めざして
役員は同友会のモデル企業になるよう努力しましょう。同友会の役員の最大の役割は、「ああいう企業をめざしたい」と思ってもらえる企業になるよう努めることです。
そのためには、役員はお互いの企業経営について、温かく厳しい本音をぶつけあって育ちあうことが大切です。兵庫同友会の正副代表理事は全員が決算書を見せ合い、会社を訪問して学びあっています。
8月に関東甲信越支部長交流会が開かれましたが、モデル企業づくりの事例が出てきませんでした。ぜひ役員会や役員研修会では、たえず企業の状況を出し合い、点検しあいましょう。
同友会の歴史や理念、活動経験を学ぼう
7月に香川で開かれた中同協総会の第2分科会で、中同協の元会長の田山さんに報告いただきました。私はその分科会の座長でした。田山さんは同友会歴50年です。50年前は自分たちの前に活動の蓄積は何もなく、“自助努力で頑張るぞ”という気持ちだけだったそうです。それと比べれば、私たちは同友会50年の活動の積み重ねを生かすことができます。
全国的に試され済みの活動経験を生かす
「自分たちのやり方」に固執したり、リーダーの個人的力量・経験だけで活動を進めると、回り道をしてなかなか全国的に当たり前のこととして行われている活動の水準に達しません。私自身大変反省したんですが、中同協総会の議案を最初から最後まできちんと読んだのは昨年が初めてでした。読んでみると、それまで活動上うまくいかず悩んでいたことがみんな書いてあるんですね。本当に遠回りしたと思いました。
「運動」という視点で役員は臨みましょう
第1に、同友会はそれぞれが勝手に学ぶのではなく、先述したように、学びあう組織であるという意味での運動と言えます。
第2に、経営環境を変えていくという意味での運動です。環境改善と言っても、狭義の政策活動だけでなく、環境に適応する、変化に対応する企業という従来の経営から、自分たちで時代を拓(ひら)いていく企業をつくっていくという意味が大きくなってきています。
役員会活性化のいくつかの視点
女性の役員の比率を高めましょう。女性の役員を増やすことで、役員会のコミュニケーションはいっそう豊かになります。
役員の機械的な交代は避けましょう。学べる役員会、役員になると企業が発展する、そうした風土ができていれば、安易な役員交代はおきないはずです。
同友会運動を共につくるパートナーとしての事務局とは、運動の方向など大事なことについての認識を一致させておきましょう。千葉同友会の経営指針セミナーの全講座に全事務局員が参加しますが、とても厳しい指摘をしてくれます。
地域から頼られる組織づくり
なぜ同友会は頼られる組織なのか。第1には、真剣に学びあい、企業づくりに励んでいるということから生まれる信頼感です。
第2に、自主的な組織であること。運営も自主的、参加も自主的、財政も自前、そういう性格の組織が出番となる時代になってきたということです。
第3に、同友会が地域に密着した企業活動を行っており、地域を愛する経営者の集団であり、中小企業や個別企業のエゴを超え、地域の将来を見据えた政策活動、提言活動を行っていることです。
第4に、人育てに熱心な組織であることです。地域全体の人育てに気を配り、共同求人、インターンシップなどで力を発揮するとともに、各企業では地域社会で通用する自立した社会人を育てるよう心がけていることで“地域における学校”としても頼られています。
増える組織・減らない組織づくり
退会率を下げるために、新会員オリエンテーションを定期的に開くことや、会員訪問を行い、じっくり話を聞くことが大切です。小グループ活動に取り組むことや、入会したら早い時期に1度は自らの経営について語る機会をもつことも大事です。
増やす活動を独自に追求しなければ会員数は減少します。組織には自然減があります。それを上回るテンポで増やす努力を日常的に続けましょう。当面、今年度の目標4万名会員達成を、来年1月10日の新春幹事会までに皆さんの力でやり上げましょう。
「中小企業家しんぶん」 2007年 9月 15日号から