大阪同友会女性部長 西村 佳津子氏((株)ロッコー取締役部長)

未来開く力を育む

人間として、女性として、経営者として

 10月5日、大阪で行われた中同協女性部連絡会から、「『同友会で学び実践するとはどういうことか』に常に立ち返って」をテーマに行われた西村佳津子・大阪同友会女性部長の報告を紹介します。

宴の後に何を残すか

 大阪同友会の女性部は1984年に設立され、2003年に全国女性部交流会を設営することで大きな変化がありました。

 「宴のあとに何を残すのか」を追求して、女性部内に共育委員会をつくり、翌年には経営理念の6回シリーズの講座を設けました。部会として経営指針成文化セミナーを行うなど、同友会理念に基づいて学ぶ姿勢を重んじて活動を展開。現在、大阪同友会に入会している女性経営者377名中174名が女性部に所属しています。

 今年度は女性部の理念をつくり、「私達は自己をみがき、尊重しあい、人間として、女性として、経営者として未来を開く力を育(はぐく)みます」としました。また、年度の方針テーマを「いっしょに~共に学び・感じ・つくり・行動し・成長する」とし、そのもとに5つの方針をつくり、例会、共育、広報、増強の4委員会が活発に活動しています。

 女性部の例会は年6回。うち2回は支部や青年部などと合同で行っています。全国交流会以来、前部長は次の部長を支え、女性部の活動の質が保たれるように協力してくださっています。

 女性部とは何か、人間として、女性として、経営者として、母性も大事にしながら、学び続けられる組織づくりに努力しています。「いっしょに」というスローガンのもと、支部役員などとともに学びの場を考えています。しかし、常に学ぶだけでいいのかという問いかけも行い、実践し、検証していく、結果を出していく。PDCAを回していくことを心がけています。
経営者としての第一歩は女性部から

 4年半前、当時の部長であった長谷裕代さんのように輝く女性になりたいと、同友会の女性部に入会しました。同友会も会社も同じ「組織」。組織を動かせない経営者には会社も動かせない、私自身、組織とは何かを理解する必要がありました。以前は、社員に「気に入らんかったら、やめてもええよ」と言っていましたが、女性部で学び、これではいけないと思い始めました。

 女性部の1泊研修では、経営者は有言実行でなければならない、社員に思いを伝え、社員をパートナーとして仕事をしていくことの大切さを学び、早速実践。女性部に入っていなかったら、経営者としての第一歩を踏み出せなかったかもしれません。大阪同友会主催の経営指針成文化セミナーでは、「社員は一生懸命働いてくれていて、サービス残業もしている」という話をしたら、「それは会社の『恥』やということを分かりなさい」と言われ、学ぶほど自分の本質が見えてきて、独りよがりの経営をしてきたことに気づかされました。

 会社の理念も社員と共に作成。理念とは上から下に「落とし込む」ものではないということも理解できるようになりました。しかし理念だけ作っても社内の改善にはなっていない現状もあり、社内の仕組みづくりの大切さを痛感しました。

 会社のホームページや社員のブログをつくることも、同友会でアドバイスを受け実行しました。だれでもパソコンができるようになり、社内の情報の共有も進みました。エコアクション21にも挑戦しています。

学び実践する大きな女性部を

 同友会では経営指針セミナーのリーダーになり、「労使見解」を何度も読み返しました。「経営者の責任」では、経営指針を作り、共に実践し、社員に会社の明るい将来を見せることが社長の仕事だということを深いところで理解できるようになりました。社長と専務の違いはリーダーとサブリーダーの違い、責任に天と地ほどの差があることも学びました。今、女性部長をやれるのも、歴代部長の支えがあるからです。孤独じゃない、同じ思いで話せる人がいると思えるのもそのおかげです。

 学び実践する大きな女性部をつくり、全国の同友会の力になる。全国の女性部のみなさんとともに頑張っていきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2007年 11月 5日号より