細菌検査の新手法を開発 (株)中央電機計器製作所 社長 畑野吉雄氏(大阪)

細菌検査の新手法を開発

(株)中央電機計器製作所 社長 畑野吉雄氏(大阪)

検査時間の短縮と コスト軽減

 昨年7月新連携の認定を受けた「マイクロコロニー観察装置」は、(株)中央電機計器製作所(畑野吉雄社長、大阪同友会会員)が大阪大学との共同研究で開発したもので、食品に含まれる細菌を正確かつ迅速に検査できる画期的装置です。

 近年、O―157事件や雪印食品などの食中毒事件の発生により、各企業は国から定められた検査以外に自主検査でプロセス管理や完成品管理を行っています。その理由は、国の標準検査では時間がかかり、製品の出荷に間に合わないという問題が生じているからです。

 この装置は、近年欧米で菌検査の新しい手法として認知されているマイクロコロニー法という従来とは異なる検査方式を用いた菌数計測装置(ナノ技術を応用したバイオ観察)で、検査時間の短縮とコスト軽減をはかったものです。温泉のレジオネラ菌検査の分野からも注目され、販路開拓には同友会会員も加わり、3社連携で進められています。

ネットワークづくりに同友会は宝の山

 同社もかつては、95%大手からの受注企業でした。同友会歴18年になる畑野氏は、9年前、大阪同友会が立ち上げた自立型企業をめざす産学連携グループ「大阪産業構造研究会」に参加。現在は「オンリーワン研究会」(会員企業85社)と改称されましたが、そこで中小企業創造活動促進法、経営革新支援法などの施策を学び、仲間と競い合って施策の活用に取り組み、次々と認定を受けました。政府の補助金・助成金を取れば、金融機関の評価も良くなります。

 オリジナル製品として着手した液晶テレビ、携帯電話、デジカメなどの液晶内部にあるフィルムの寸法やキズ、ゴミなどを測る検査装置の開発では順調に受注を伸ばし、他業種への応用も広がり、今回の新連携認定企業へと発展しました。

 以前から畑野氏は、いろいろな展示会に積極的に参加、新規の取引先を増やしてきました。「会社の規模に関係なく、対等の立場でコラボレーションしていく。お互いが利益を生むウインウインの関係づくりが大切」とのこと。「ネットワークを築く上で同友会は宝の山。全国行事での名刺交換から人脈は広がるのです」と語る氏の挑戦は、エンドレスに続きます。

「中小企業家しんぶん」 2006年 3月 25日号から