「広域強者連合」で高付加価値製品を創出 東成エレクトロビーム(株)社長 上野 保氏(東京)

「広域強者連合」で高付加価値製品を創出
東成エレクトロビーム(株)社長 上野 保氏(東京)

 新連携政策のモデル企業と言われる東成エレクトロビーム(株)(上野保社長、東京同友会会員)。同社がコア企業となって開発したレーザによる表面洗浄装置「イレーザー」は、新連携事業認定の第1号です。

 社長の上野保氏は、東京、神奈川、埼玉の西部「広域多摩地域」で産学官連携のリーダーとして活躍するとともに、中小企業政策審議会など国の各種審議会等の委員として、中小企業の立場から発言してきました。

新連携の原型「コーディネート企業」

 これまで上野氏が提起してきた新しいビジネスモデルの中で、新連携の「原型」とも言えるのが「コーディネート企業」。これまで、発注元の大企業が材料から組み立てまで個別に発注していたものを、コーディネート企業が一括して図面で請け負い、中小企業間の横のネットワークで対応するモデルです。

 このコーディネート企業という新しいコンセプトは、優れた事例として『中小企業白書』でも紹介されました。

 しかし、クライアントニーズの変化や高度な技術が要請される案件に対し、多摩地域だけの連携では間に合わないことも増え始めました。そこで、広域での連携を指向するようになり生まれたのが、広域強者連合「ファイブテックネット」でした。

広域強者連合「ファイブテックネット」

 「ファイブテックネット」は、関東、近畿、福岡の5社が組んで、共通カタログを作成したり、共同で展示会に出品。出会いは2002年からですが、トップ同士の信頼関係づくりのために泊り込みでミーティングを行い、決算書や財産目録、事業計画などすべてをオープンにしました。ここでは、中小企業が技術、ノウハウの緊密な「すり合わせ」を通じて、柔軟に「強み」を相互補完しながら、高付加価値の製品サービスを創り出す新たな連携であり、新しい共同提 案・共同受注を目指すとしています。

 5社が組むことで、高度な製造技術を広くカバーできるとともに、どこが元請けになっても、きっちり対応できる強者連合になりました。

 東成エレクトロビームは、レーザ加工業等ではナンバーワン企業ですが、コーディネート企業から広域強者連合、そして新連携の段階に入り、自社ブランド製品の製造販売にいよいよ手が届きました。

 今後、同社がコア企業となって開発・製造した「イレーザー」などの販売に力を注ぐとともに、2006年度の中小企業政策の目玉である「基盤的重要技術」政策の活用に挑戦していきます。

【会社概要】
設立 1977年
資本金 8500万円
従業員 100名
所在地 (本社)東京都瑞穂町、(工場)羽村市、福島県郡山市

(編集部注・3月16日、東京同友会定時総会での記念講演「企業ネットワークは中小企業を強くする!」より)

「中小企業家しんぶん」 2006年 5月 5日号から