【地域産業視察3】増田工業(株)を見学して

中同協・企業環境研究センター
静岡・牧之原市で地域産業を視察(2)

技能者育てる教育体制
増田工業(株)を見学して

機械加工技術でナンバーワンめざす

 牧之原市にある増田工業(株)(増田雅春社長)は、現社長の父である先代社長が42歳のとき、増田プレス工業所として、1960年に創業しました。

 当初、家庭用シャッター、住宅用サッシ等の付加価値が低く、労働集約的な金属プレス製品の加工が主な業務でしたが、会社の成長とともに、プレス金型、治工具設計製作といった、より付加価値の高い分野へ挑戦。量産品から一品物への転換に成功しました。

 75年ころから、フライス盤、旋盤等の工作機械を増強し、やがてNC放電加工機、マシニングセンターの導入など、設備面での強化を図り、顧客の高度で、かつ多様な需要に対応できる体制を構築してきました。90年代になると、完全にシャッターやサッシの仕事からは撤退し、高度機械加工が仕事の中心となり、現在に至っています。

 同社のスローガンは「機械加工技術でナンバーワンをめざす」であり、社是は「社会から必要とされ社会とともにある企業」としています。顧客満足と社会貢献を図るために、経営者と従業員は日夜努力を積み重ねています。

普通高校出身者も一人前の技能士に

 増田工業(株)のコア・コンピタンスは「納期厳守・高品質・確実」を守るヒューマニティーにある、と社長の増田雅春氏。そのために、国家検定技能士の育成にも力を注いでいます。現在、国家検定技能士は延べ12名を数え、現場の中核として働いています。

 また、「良い環境からは良い人材が育ち、良い製品を生み出す」との考えから、工場の作業環境の改善に尽力。工場の改築、新工場の建設、工場内の水銀灯化を進展させ、高度加工が可能となっています。

 こうした技術を支える従業員は、地域在住の普通高校、専門学校の新卒採用が主力です。失敗を重ねながらも、30歳前後になると第一線の技能者に成長し、バリバリ仕事をこなしています。

 同社では、普通高校出身者でも一人前の技能者に育成する教育体制を持っており、OFF―JT、OJT両面で力を入れています。たとえば、新入社員を静岡同友会の合同研修に参加させたり、技能面では、OJTのみならず、県のポリティックセンターで、図面の見方、旋盤・フライス盤の使い方の研修に参加させたりしています。「なんとか会社がここまで成長できたのは、従業員のおかげ」と強調する増田社長です。

今後の展望

 昨年4月、現在の本社工場に加え、牧之原市白井地区に白井工場が完成し、営業が開始されています。また、今年7月には、国際規格であるISO9001、ISO14001を取得予定です。設備面、品質面でのより一層の充実が図られたので、受注面での今後の拡大が期待できそうです。

【会社概要】
設立
 1960年
資本金 1000万円
社員数 63名
業種 専用機設計製作、治工具設計製作、専用機部品加工、プラスチック金型設計製作、プラスチック金型部品製作
所在地 牧之原市波津
TEL 0458-52-0126

「中小企業家しんぶん」 2007年 4月 15日号から