【特集 新春に集う-北から南から】同友会の輪を広げ、元気な企業、元気な地域に

 新たな年を迎えて、同友会の輪を広げ、企業も地域も元気にしていこうと、各地で新春の集いが開かれています。今年設立3年目を迎える秋田、昨年末に一気に金融アセスメント法制定を求める国への意見書採択議会を増やした山形、産学官金の地域連携を深める長野、500名超が参加した岡山、2010年に300名会員をめざす鳥取から、新春の集いを紹介します。

【秋田】英知集団の輪を広げよう~明日の豊かな秋田へ本領発揮の年に新春例会
【山形】地域力を生かし、新しい仕事づくりを~「中小企業憲章」スライドも上映新春交流会
【長野】地域経済再生へ連携を強化しよう~産学官金から来賓15名新春中小企業経営フォーラム
【岡山】新春経営講演会に503名が参加~新会員、オブザーバーにも積極的に働きかけ
【鳥取】自社と地域の未来を築こう~大きな夢を持ち、同友会で学んで実践新春1月例会


【秋田】英知集団の輪を広げよう~明日の豊かな秋田へ本領発揮の年に新春例会

 秋田同友会2007年新春例会は1月25日、イヤタカを会場に75名の出席で開催されました。ゲスト、オブザーバー参加者も18名に上り、大学からの出席もあるなど内外に広く同友会の存在をアピールできた新春例会となりました。

 念頭の所信表明とも言うべき開会あいさつで、佐々木克巳代表理事は「3年目を迎える秋田同友会は、現在、会員企業数18社。今年は、北海道同友会から事務局長を迎えた。いよいよ本格的な活動を開始し、着実に前進していく年としたい。地域格差も広がっている現在、学ぶことをせずに明日はない。一緒に同友会で学びあい、元気な会社、元気な秋田を創(つく)っていきましょう」と述べ、会場には今年の秋田同友会への期待が熱く広がりました。

 新春講演には北海道同友会相談役理事・大久保尚孝氏を招き、「同友会は何をめざす運動なのか~理念を現実の運動としてどう定着させるのか」をテーマに講演。

 大久保氏は、「企業の発展と生き残りは、経営者の人格、見識次第であることは今も昔も変わらない。平和の中でこそ中小企業の繁栄がある。未来を見通す際、自社の存在が人々にとって豊かで安心に満ちた暮らしを提供するものになっているかどうかを、絶対に忘れてはいけない。会員一人ひとりが謙虚に学ぶ姿で感動を呼ぶような、また、人間として生きていくことで確かな安心感をもてるような英知集団を作って欲しい」と語りかけ、秋田同友会に温かい声援が送られました。

 講演後、熊谷正司組織委員長が「英知集団の輪を広げることは、明日の豊かな秋田を創造する力になる。会員増強に力を注ぎ、5月の総会には130名の会員で臨みたい」と決意表明。その後の新春懇親会では、ゲスト参加者がステージで入会を表明をするなど、大いに盛り上がりました。今年の秋田同友会は一段と熱い、本領発揮の年になりそうです。


【山形】地域力を生かし、新しい仕事づくりを~「中小企業憲章」スライドも上映新春交流会

 山形同友会では1月22日、新春交流会を開催し、100名が参加しました。記念講演講師は、赤石義博・中同協会長。

 赤石氏は、安心して人生を託せる企業づくり、地域づくりのためにどういう戦略をたてるか、その戦略を日常的に仕事で担っていく社員をどう育てていくかの視点で講演。「山形は、どういうところですか?」の問いかけから始まり、山形県の産業構造の変化を科学的なデータをもとに、「稲作では全国6位、住居の広さ3位、世帯人員は1位と底力はあるが、米の依存度が高く、稲作を文化にしていくことがなかったのでないか」と指摘。また、「若い人に魅力ある地域づくりをし、『地域力』を生かし、あと1人を雇用できる仕事づくりをしよう」と強調。

 また、「経営者自身が自社の理念や商品を本物だと確信を持って社員に語ることで、社員が確信を持つ。社長が喜び、驚いて見せることで、社員が共感し意欲を高める」など、経営者自身が人間らしく生き、それを社員に示してこそ、社員が誇りに思える企業になると語りました。

 グループ討論は、「あなたの会社がなくなったら、お客様は困りますか」のテーマで、自社の存在意義、自社の強み、価値観の変化に対応できる社員づくりについて語りあいました。

 祝賀会では、松田浩実行委員長が、「赤石会長から『地域力』を生かし、もう1人を雇用できる新しい仕事づくりという新たな課題をいただきました。山形を良くし、中小企業憲章を制定していくためにも、多くの仲間が必要です」と会員増強を訴えました。

 今回の新春交流会は、政策委員会が担当し、記念講演の前に、「中小企業憲章~中小企業を誇りに思える社会に」(東京同友会制作)のスライドを上映。参加者からは、「ぜひ立法化し、中小企業担当大臣を設置すべく、みんなで行動しよう」「日本は中小企業の国。中小企業が頑張れる社会を創ろう!」と感想が寄せられ、中小企業憲章制定運動へのスタートとなりました。


【長野】地域経済再生へ連携を強化しよう~産学官金から来賓15名新春中小企業経営フォーラム

 長野同友会は「2007年新春中小企業経営フォーラム」を1月18日に開催しました。メインテーマは、「地域経済再生への担い手として共に前進していこう~経営指針で会社が変わる、地域が変わる~」として、県内各地から約200名が参加しました。

 第一部の基調講演会には、(株)京北スーパー相談役の石戸孝行氏を迎え、「時代に選ばれる企業づくりの実践~売れるものを売らない我慢、売れないものを売る信念」と題して“本物”“正直”にこだわり、お客様からの信頼と支持を得ている実践について講演。グループ討論では「自社の理想、こだわりと現実経営とのギャップの中でどう守り継続させていくか」について討論が行われました。

 第2部新春懇親パーティーは、今回初めて産学官金から15名もの来賓を迎えて開催されました。長野同友会では、ここ数年、行政機関や教育機関、金融機関との主体的な相互連携を目指して活動を進めてきていますが、今後も各機関との連携強化を目指しています。

 来賓の長野県商工部長の山際一雄氏からは、2月に同友会と長野県・信州大学の三者の共催で初めて開催する「地域資源活用型ビジネス創出フォーラム(フードビジネス編)」についてのピーアールもあり、地域経済に活力を蘇らせるために、共に力を合わせていくことを誓い合いました。

 懇親会の中では来賓と会員の間で積極的な名刺交換と交流が進み、新年に向けての抱負や企業づくり・地域づくりに向けて活発な意見交換が行われるなど、今後のさらなる前進を目指した元気あふれる新春経営フォーラムとなりました。


【岡山】新春経営講演会に503名が参加~新会員、オブザーバーにも積極的に働きかけ

 岡山同友会の2007年新春経営講演会が1月19日、東京同友会前代表理事の(株)文化堂後藤せき子会長を講師に、岡山プラザホテルで開催されました。

 今回は、経営指針セミナー卒業生を中心に実行委員会を組織。目標も、前回参加者数を100名以上も上回る555名に設定。あらかじめ講師となる後藤せき子氏の講演テープを取り寄せ、役員にも聞いてもらって講師の魅力を伝えることで、社員などにも参加を呼びかけるよう働きかけていきました。また、オブザーバーと会員を支部ごとに訪問する「プロジェクトDOYU」にも取り組みました。

 そうやって迎えた当日は、過去2番目の参加者数となる503名で、会場は立ち見も出るほどの満員状態となりました。

 後藤氏は「地域密着都市型スーパーの挑戦~4坪のお菓子屋から年商220億企業へ」と題して講演。少女時代の体験から、会社を創業した経緯、社員に対する熱い思い、そして競争の激しいスーパー業界の中、大手に負けない戦略なども包み隠さず話し、77歳とは思えない元気な語り口に、「元気と勇気をもらった」という感想が多数寄せられました。

 その後行われた祝賀パーティーには、石井正弘岡山県知事、桑田真治おかやま信用金庫理事長も駆けつけ、役員からは「今年中に700名の会員達成を」「支部会員の増強で活性化を」「経営指針の成文化企業をもっと輩出していきたい」などの活気ある新年の抱負が語られました。

 新会員やオブザーバーとパーティーでも積極的にかかわっていこうと、青年部を中心に前もって担当を決めてフォロー。担当者が新会員・オブザーバーを連れて精力的に正副代表理事や県理事に紹介して回る姿が目立ちました。最後、岡山同友会名物5本締めで盛会裏に会は終了しました。


【鳥取】自社と地域の未来を築こう~大きな夢を持ち、同友会で学んで実践新春1月例会

 鳥取同友会の新春1月例会が1月17日、米子全日空ホテルで開催され、オブザーバー参加も含め、38名が参加しました。

 2010年に会員200名実現と鳥取支部づくりをめざす鳥取同友会。新春例会では、同友会で学び、実践することで、企業をいかに変えてきたか、同友会がいかに地域に期待されているかを学ぼうと、「鋼材屋の現状と未来の発展を見つめて今やっている事~同友会での実践が自社と地域の未来を築く」をテーマに、大阪同友会代表理事の堂上勝己氏((株)梅南鋼材社長)を報告者に迎えました。

 堂上氏は、「28歳で3代目の鋼材屋の社長になって8年くらい、悶々としてあっちこっち勉強に行き、どうしたら経営はうまくいくのかなと思ったときに同友会と知り合った。経営指針成文化では社員と徹底して話し合い、その実践を通して社員の自発性が発揮される会社になってきた。自立的で質の高い企業をめざし、価格決定権をもてる会社になるため、提案型営業に転換、仕入先からの信頼も高くなった。質の高いネットワークづくりが必要」「大阪では、学生にも地域の中小企業に目を向けてもらいたいと、阪南大学での寄付講座やインターンシップに取り組んでいるが、中小企業が日本を支えているとの気概を持ち、地域で活躍しなければならない」と強調。最後に、「同友会理念で地域を変えるとの大きな夢を持ち、鳥取の皆さんも頑張ってください」と結びました。

 参加者からは、「中小企業は地域の中で発展し、地域を豊かにする努力が必要」「同友会に参加して実践し、自分が変わる。自分が変わることによって相手(社員)も変わる」「経営理念の必要性を感じた。学んだことをいかに実践するか、実行して初めて意味がある」「地域の力の活用と夢を持って質の高い集団のネットワークづくりを」などの感想が寄せられました。

「中小企業家しんぶん」 2007年 2月 15日号から