改正建築基準法の影響さらに拡大 愛知同友会が追跡調査

 昨年6月に施行された改正建築基準法の影響が、建設業以外でもさらに拡大しています。愛知同友会はこの問題で、昨年10月にアンケートを実施し、深刻な事態を機敏に把握して行政やマスコミを動かしました。その後の状況をつかもうと、今年3月に追跡調査(回答数428社)を実施しました。

建設業以外にも、影響がさらに拡大

 その結果、影響が出ていると回答した企業は、建設業が昨年10月調査から約11ポイント増の72%(図1)、建設業以外でも約6ポイント増の29%に上り(図2)、建設業以外にも影響が広がっています。

図1 「改正」による現在の影響(建設業)・図2 「改正」による現在の影響(建設業以外)

事業が成り立たない事例が多数

 建設業では、「確認申請が下りるまで、1年以上かかった」(足場リース)、「資金繰りが大変になった」(建築設計監理)、「確認申請が不要なリフォーム事業に大手が参入してきて、競争が激化している」(リフォーム工事)など、事業が成り立たなくなっています。

 他業種でも、「受注がかなり不安定になった」(木質建材加工)、「10年ぶり赤字に転落」(オーダー家具)、「売上も減少しており、このまま続けば死活問題」(ガス器具類製造)、なかには、工場増築が間に合わず、外で仕事をせざるをえない製造業も出ています。

 また、「法改正で影響が出ていることは明白であり、その影響の原因をしっかりとらえ、その対策を早急にとることが必要」(産業用機械)、「もっと現場を知ってほしい」(カラオケスタジオ等建築)、「地場工務店のことも考えて政策を考えてほしい」(建具工事業)など、行政に対する要望が数多く出されています。

 2008年に入れば着工戸数は戻るという観測もありましたが、建設業以外の業種へのマイナスの影響は、これから本格的に現われると見られています。

景気減速感がより鮮明に

 それを裏付けるように、愛知同友会が発表した2月の景況調査報告では、業況判断DI(今月の状況)がマイナス6と4年半ぶりにマイナスに転じ、前年同期比でも4期連続の「悪化」超過(図3)。愛知でも景気減速感がより鮮明になってきています。

 特に建設業では、業況悪化が続いています。今回の調査では、改正建築基準法の施行から半年以上が経過し、ようやく着工の認可が増えつつあるという明るい意見もありましたが、業況の悪化に歯止めをかけるほどにはなっていないようです。

図3 業況判断DI(全業種)

「中小企業家しんぶん」 2008年 4月 5日号より