【経済データを読む】来年の予測データから

 2011年世界経済の成長率見通しは、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)、国連の3つの機関の予測は2.5~4.2%(表1)。日本の内閣府も3%前半の成長とみていますが、FRB(米連邦準備制度理事会)のアメリカ成長率見通しは3.0~3.6%、欧州委員会のユーロ圏成長率 1.5%の予想などを踏まえると、3%前後の成長と見込まれるのではないでしょうか。

 アジアの成長率については、IMFはアジア太平洋地域で6.8%、OECDは東南アジアで2011~2015年平均で6%、アジア開発銀行は7.3%と、高成長の見通しです。

 日本の成長率については、IMF、OECDともに前回見通しより引き下げて、それぞれ1.5%、1.7%と予想。日銀は1.8%成長で、物価は 0~0.1%とみています。日本の民間シンクタンク11機関の平均は1.3%(表2)。日本は1%台の成長で、なおかつデフレ状態が続くとみることができます。

 欧州委員会は、企業の債務圧縮の「バランスシート調整」が8年続くと分析、世界経済はまだまだ不安定とみています。

 ILO(国際労働機関)の見通しでは、先進国の雇用は15年まで回復しないと予測しています。

 世界の「原料高の製品安」という流れは続いています。原料用石炭価格は74%高く、鉄鉱石も8%上がり、リンゴやオレンジの輸入果汁でさえ5~6割引き上げとなっています。

 エコポイントなどの政策効果切れにより、薄型TVの販売が10分の1に減少したことなどをみても、2011年の日本は、需要の減少からスタートする年になると思われます。

(備考)
11機関は、第一生命経済研究所、大和総研、ニッセイ基礎研究所、日本経済研究センター、日本総合研究所、農林中金総合研究所、野村證券金融経済研究、みずほ総合研究所、三菱総合研究所、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、富国生命

「中小企業家しんぶん」 2010年 12月 25日号より