自社を「見える化」する企業プロフィール記入シート

【社員とともにめざす企業像へ変革を~企業変革支援プログラム ステップ2】2

 「企業変革支援プログラムステップ2」(以下ステップ2)の内容を紹介する本シリーズ。今回からステップ2の編集にあたった中同協経営労働委員会企業変革支援プログラム検討プロジェクトのメンバーに交替で寄稿していただきます。今回は企業プロフィール記入シートについて紹介します。

意義・目的

 企業プロフィール記述の目的は、基本的な情報を整理し、「見える化」することで、自社の内外の経営環境を明確にし、再認識することにあります。

使い方

 シートへは、初めから記入するのではなく、まず全体を見て何を要求しているのかを把握します。企業概要、経営理念、経営資源、事業ドメインの確認などそのまま書き込める項目もあれば、現状の事業の確認、自社の競合の確認のように、あらかじめ計算や情報分析を必要とする項目もあるので、このシートへ記入するための前調査を行います。初めて記入する時は、想定していなかった項目があるかも知れません。考えることに負担を感じるかもしれません。その場合、直ぐに書けない部分、思いつかないところは記入せずに読み飛ばして先に進めます。この企業変革支援プログラムは、継続して使用するように作られていますので、2度目からは、前回の分を参考にしながら、変更したところ、経営指針を実践して得た成果を記載すればよく、負担はずっと軽減されます。

自己分析シートへの導入

 「現在の取り組み課題」では、前年度の成果からの取り組み課題、ステップ1から気づいた取り組み課題を記述します。これを参考にして、ステップ2の自己分析シートの優先順を決めます。また自己分析シートを記入する上で、取り組み課題を明確にしておく方が、より具体的な解決に向けての気づきが得られます。

応用・活用

 数字の元となるデータや、記述内容の根拠がどこにあるのかも明確にして残しておけば、このプログラムを継続して使用する場合に大いに役立ちます。また、経営に正解は無いと同じように、状況を検証することや、成果の分析方法にも正解はありません。自社で独自の確認項目や分析データを加えて整理し、課題を検討することで、より効果のあるものにすることができます。

 見える化された「企業プロフィール」は、自社の現状を示すだけではなく、将来のビジョンや方向性を明確にするシートでもあります。全社で年度ごとに会社の成長を確認し、共に喜ぶと同時に、将来への夢を共に描く仕組みとしても活用することができます。

関西金属工業(株) 代表取締役 美馬 徹(大阪同友会)

「中小企業家しんぶん」 2012年 5月 15日号より