全国で金融庁の業務説明会―41同友会に参加要請

 9月中旬から10月中旬にかけて、金融庁による「業務説明会」が各都道府県で開催されています。これまでに41同友会に参加要請が来ており(9月24日現在)、このような形で多くの同友会に参加要請が来るのは初めてのこと。中小企業憲章に謳われている「政策を実施するに当たっては、中小企業の声を聞く」ということが実践されたものとも言えます。愛知での説明会(9月19日)の状況、北海道の説明会(9月20日)での守和彦・北海道同友会代表理事の発言要旨を紹介します。

日本版CRAの制定などを要望~金融庁業務説明会に同友会として出席【愛知】

 9月19日に東海財務局内で金融庁の業務説明会が開催され、愛知同友会を代表して豊田副代表理事と徳島金融副委員長が出席しました。

 同説明会には同友会の他、名古屋商工会議所、春日井商工会議所、愛知県商工会連合会、愛知県中小企業団体中央会からそれぞれ経営者の役員が出席しました。

 説明会では、金融庁の森信親検査局長より、金融機関のモニタリング方針を中心に、中小企業に対する施策説明がなされました。

 今回出された金融検査の基本方針は、金融機関の地域企業に対する融資や投資について、従来の減点主義・リスク回避重視の姿勢から、中小企業経営の本質的な問題にきちんと向き合う方向への転換を目的とするものです。

 例えば債務超過の企業に対しても、長期的視点で事業内容をよく見て経営を支援し、適正な融資を継続して成長企業へと発展させるといったモデルも展望するとの説明があり、「目利き力」のある銀行員の育成指導も行っていくとのことです。

 またそのためにも、今後継続的に企業サイドの実態についてヒアリングし、検査監督に反映させていきたいとの意向が示されました。

 その後の意見交換で同友会からは、経営が苦しい時も雇用を守り継続的に地域経済の維持発展に貢献する企業を、金融機関がきちんと支えられるようにと要望。

 また、日本版CRA(地域再投資法)を制定して地域企業への資金循環の活性化をはかること。

 そして、法整備への第一歩として金融機関の情報開示に関して、中小企業向け融資の実態を適切に把握することができるよう企業規模別に情報開示をすること、銀行員が企業現場を回れるように環境改善を進めることを提案しました。

金融機関と中小企業の相互理解を~北海道同友会代表理事 守 和彦氏((株)ダテハキ代表取締役)【北海道】

 (1)本道における中小企業は、企業数の99・8%、雇用者数で83・3%と圧倒的多数を占める。

 今年3月末の金融円滑化法期限切れに伴い、中小企業の倒産が激増するとの推測がマスコミ報道でもなされ、身構えて4月を迎えた。

 幸いにして倒産件数が低水準にとどまっているのは、この間の政策と指導が功を奏したものと受け止めている。

 同時に、回復してきた景気を維持発展させるための対策は、少子高齢化・過疎化の進行等、地域間格差が広がる中で、持続可能な地域社会を守るためにも重要であり、中小企業への支援は急務である。

 (2)この6月に中小企業基本法が改正され、小規模企業への施策充実がうたわれていることは大変心強く感じている。

 中小企業の中でも圧倒的多数を占める小規模事業者は、経営課題の発見や経営計数の理解という点では力不足の感が否めない。

 地域金融機関にはぜひ、目線を下げて実態に即した経営支援を望みたい。

 企業再生・経営改善支援、事業承継支援や販路拡大など、リレバンの機能強化をはかり実効性を高めるためには、金融機関と中小企業の相互理解が大前提。

 もっと現場に足を運び、経営者の話に耳を傾けてほしい。そのような指導をお願いしたい。

 (3)中小企業にとって、金融機関は最も身近な経営支援機関であると考えている。

 資金を提供する機関から、経営を支援する機関へのウエイトアップを、ぜひ政策として考えていただきたい。

「中小企業家しんぶん」 2013年 10月 5日号より