同友会が連携 共同作業所等をスキルアップ (社)滋賀県社会就労事業振興センター長 高橋 信二氏(滋賀)

同友会が連携 共同作業所等をスキルアップ
(社)滋賀県社会就労事業振興センター長 高橋 信二氏(滋賀)

 滋賀同友会は、3月に滋賀県社会就労事業振興センターが主催した「授産施設・共同作業所スキルアップ研修会」(経営技術を高める5日間の研修)に講師として役員が参加するなどして協力しました。

 5日間行われた研修は、「経営者のあり方と経営理念」「商品の原価計算の方法」など11講座。

 障害者自立支援法で障害者施設が再編されることに伴い、新たなサービス体系への移行を検討している共同作業所などから15名の職員が参加しました。

 滋賀同友会では「障害のある人たちもともに働き、暮らせる地域づくりをめざし、共に育つネットワークが広がれば」としています。

 同センター長で滋賀同友会会員でもある高橋信二氏からの寄稿を紹介します。

 障害のあるなしにかかわらず、「働く権利」を行使し、自らが生活の主体者として暮らしていけることは成熟した社会の証(あかし)です。

 残念ながら、障害のある人たちが地域で「働き」「暮らす」ことはいまだ容易ではありません。とりわけ「働く」ことは、「生活」を成り立たせる重要な要因であることから、これまでも雇用や福祉の側からさまざまな施策が展開されてきました。

 雇用政策としての「法定雇用率」の規定等に加え、障害のある人たちの「働く」ことに対する福祉の側からのサポートとして、わが国固有の「福祉的就労」と呼ばれる授産施設・共同(働)作業所(以下、作業所等)での就労形態があります。

 現在、「福祉的就労」の場において、全国で約24万人、滋賀県では約3000人もの障害のある人たちの「働く」場を保障しています。しかしながら、そこでの平均月額工賃は1万5000円程度で(2001年当センター調査:滋賀県内に所在地がある施設利用者の平均月額工賃)、企業へ就職する人は年間約1%という低い状況です。

 私ども滋賀県社会就労事業振興センターでは、1998年に授産施設・共同(働)作業所の受注等の拡大、そこで「働く」障害のある方々の所得の向上等を目的に設立されました。作業所等で製造されている商品の販路の拡大や、仕事の受注、障害のある人たちの職域の開拓、また、「環境」「農業」「介護」「IT」といったさまざまな切り口から事業展開をし、障害のある人たちの「働く場」を自ら整備するといった活動をしております。

 しかしながら、作業所等では経営に関するスキルが未熟な状況であることは否めません。 そこで、県内の作業所等を対象に、経営理念から基本的なビジネスマナー、マーケティングと商品開発、原価計算、プレゼンテーションの方法等を学ぶ5日間の「授産施設・共同(働)作業所スキルアップ研修会」を企画。滋賀同友会と連携し、同友会会員と佐藤研司龍谷大学経営学部教授を主な講師として開催することができました。

 少人数制で15名が受講し、内容的にはすばらしい研修会になりました。また、講師をお願いした皆様には作業所等の実情を知ってもらうよい機会になりました。

 今後、地域に根ざした作業所と、地域と共に歩む同友会会員企業が、地域のなかで有機的な連携のもと、共に育つことができるようなネットワークになればと期待しています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 4月 15日号より