東京、大阪が障害者雇用でアンケート

「雇用経験」から就労支援の課題も
東京、大阪が障害者雇用でアンケート

 東京同友会と大阪同友会では、この5月に障害者雇用に関するアンケートを行い、このほど結果がまとまりましたので、紹介します。なお、両同友会では、毎年このアンケートを実施していますが、東京同友会の回答者数は昨年と比べ倍近い400社が回答、大阪同友会は昨年とほぼ同数の167社が回答しています。

 まず、障害者雇用の有無では、「雇用している」が東京8%、大阪23%、「過去にしていた」が東京12%、大阪14%となっています。東京では、「雇用している」企業が昨年13%から5ポイントダウンしていますが、今後の障害者雇用では、「雇用を検討している」(3%)、「機会があれば雇用してみたい」(30%)、「職場実習だったら受け入れてもよい」(4%)、「雇用している企業の話を聞きたい」(18%)と、あわせて55%が障害者雇用について関心を持っています。ここから、雇用企業数の割合は減ったものの、回答者数が増えたこととあわせて、障害者雇用に関心を持つ企業が会内に着実に広がっていることが推測されます。

 一方、障害者雇用に関心があっても、「雇用に踏み切れない理由」として、東京で最も多いのが「雇用するだけの仕事がない」(22%)、そして「障害者に適した仕事が分からない」(19%)、「障害者との接点がない」(18%)と続きます。大阪では、上位3つの選択として最も多かったのが「障害者に適した仕事が分からない」(59社)、「雇用するだけの仕事量がない」(39社)、「仕事の内容が危険で適さない」(36社)となっています。

 また、東京では、「雇用してみてよかったこと」として、「社員の気配り、思いやりの意識が高まった」(27%)がある一方、「雇用を中止した理由」では、「仕事に対する甘えがめだった」(21%)、「思っていたより、まわりの社員に負担をかけた」(14%)となっています。また、過去に雇用経験のある企業(今は雇用していない)が、現在雇用している企業の1.5倍にも達しています。

 大阪でも、「雇用して変わったこと」(記述式回答)として、「職場内に助け合う風土が生まれた」「一人ひとりの個性の能力を再確認し、共に育ちあえる関係づくりができる」との回答がある一方、「面倒を見てくれる人がそばにいる必要を痛感」「他の社員とのコミュニケーションも成立しにくく、社員のやる気が損なわれた」などの回答もありました。

 「雇用に踏み切れない理由」とあわせて考えると、企業と障害者が委員会活動や職場実習などを通じて、お互いへの理解を深めることや、障害者の雇用を一企業任せにしないフォロー体制の重要性がうかがえます。この結果を受けて、大阪同友会では、「障害者雇用に際して相談や情報交換できるホームページの作成と相談窓口の開設をめざす」、東京同友会も、「中小企業が障害者の継続雇用できる障害者雇用の姿をめざしていきたい」としています。

「中小企業家しんぶん」 2007年 8月 15日号より